東京の大学に通う福住翔子は、病室を出てふと視界に入ったベンチに置いてあったヘッドホンから漏れ聞こえる音に足を止めた。好奇心からヘッドホンに耳を当てる翔子。そこに聞こえてきたのは音楽ではなく、ある青年が片言で喋る日本語だった。そして目の前には小さな女の子に花をわたす声の持ち主、車いすに乗った呉明がいた。ふとしたことで車いすから落ちそうになった明を助けたことで、翔子と明は仲良くなった。明は中国からの留学生で、偶然、翔子とは同じ大学だった。数週間後、病気の祖父の様態が急変。祖父は翔子に遺言のように語りかけた。「実は、我々の祖先はいまから2300年前に日本に上陸し、農耕や新しい文化をもたらした徐福の集団なのだ」「徐福は秦始皇帝の命により、不老不死の仙薬を求めて日本に来た。私は徐福の子孫であることに誇りを持っている。本当は徐福の足跡をたどる旅をしたかった」――。翔子は亡き祖父の意思継いで、友人、呉明と一緒に徐福探しの旅に出る。
ヨリコジュン