あなたにはこの愛の蜃気楼が見えますか? 瀬戸内海に浮かぶ人口3千人の小さな島に住む12歳の少年マモルのひと夏のふれあい。マモルの母は郵便船の船長、父は雑貨屋を営んでいたが、それぞれが戦争の傷跡を抱え込んでいた。そして、マモルの前に忽然と現れた<夏少女>は、ヒロシマの過去と現在をつなぐ美しい化身だったのか…。「夢千代日記」などで知られる脚本家・早坂暁が、自らの原爆体験を踏え、その集大成として執筆した「夏少女」。1996年に映画は完成したものの、製作時の諸事情から四半世紀の間封印されていたが、早坂暁生誕90周年の今年、オリジナルネガが奇跡的に発見され、初めて劇場公開する。
森川時久