2019年6月2日、東京・NHK ホールでファイナルを迎えた“森山直太朗コンサートツアー2018~19 『人間の森』”。足掛け9か月に及ぶ全51公演を終えた後も、直太朗はその深い森に迷い込んだまま、抜け出せずにいた。ツアーを通して、常に純度を高め、理想とする境地へと向かうべく、森山直太朗はバンド・メンバーと共に演出の御徒町凧と対話し、疑問をぶつけ合い、切磋琢磨し続けた。その結果、コンサートの内容、クオリティはこれまでの森山直太朗史上最高のものに仕上がって行ったが、それでもなお御徒町は更なる上を目指すことを止めなかった。ファイナルの6月2日、ツアーの全てが終わった日、森山直太朗は万雷の拍手を浴びながら、思う。「俺はまた、あいつの期待に応えられなかった」。この映画は、“人間の森”というツアーの異様なまでのテンションの記録、その結果がもたらした森山直太朗の自問自答の日々、盟友御徒町との関係のリセット。そこから彼がまた新たな歌を奏で始めるまでをありのままに活写したドキュメンタリー。
番場秀一