椎名遼子は駆け出しの女優。4か月ぶりに故郷の田舎町に帰って来た。連続ドラマに抜擢され、いわば凱旋だが密かな目的があった。上京前からの恋人、村木順次と別れるよう所属事務所から迫られていたのだ。その歳の差は25歳、元プロの賭博師だった。これから売り出す女優には邪魔な存在である。だが、孤児として生きてきた遼子にとっては唯一の愛する人。女優を目指す遼子を支えくれた、かけがえのない存在だ。別れの決断はできないでいた。一方、事務所はマネージャーを現地に放ち身辺整理を迫る。そんな中、遼子の身には意外な危険が迫っていた。
屋良朝建