元直木賞作家の津田伸一はとあるバーで担当編集者の鳥飼なほみに、書き途中のある新作小説を読ませていた。 “富山の小さな街でドライバーとして、その日暮らしを続ける津田伸一は、かつては直木賞も受賞した小説家だった。1年前、津田はいきつけのコーヒーショップで偶然幸地秀吉(風間俊介)と出会い、今度会ったらピーターパンの本を貸そう、と<約束>をして別れる。しかしその夜を境に、幸地秀吉は愛する家族と共に突然姿を消してしまう。それから数か月後、津田の元に三千万円を超える現金が転がりこむ。ところが喜びも束の間、思いもよらない事実が判明した。 「あんたが使ったのは偽の一万円札だったんだよ」 偽札の動向には、一年前に家族三人が失踪した事件をはじめ、この街で起きる騒ぎに必ず関わっている裏社会のドン・倉田健次郎も目を光らせているという。倉田はすでに偽札の行方と共に、津田の居場所を捜し始めていた…。” 津田の体験を元に書かれた新作に心を躍らせる鳥飼だったが、話を聞けば聞くほど、どうにも小説の中だけの話とは思えない。鳥飼は津田の話を頼りに小説が本当にフィクションなのか【検証】を始めるが、そこには【驚愕の真実】が待ち受けていた――。
cocoレビューを見るタカハタ秀太