看護婦のあき子は、音楽家の日高に惹かれていた。しかし日高は結核を患っており、作曲の悩みや貧しい生活を抱えているため、あき子の想いに応えることができずにいた。ある日、あき子が勤める病院に三津田という男が現れる。彼は戦争中に病で倒れたとき、あき子に助けてもらったことがあった。それ以来、あき子を探していたのだと言う。三津田はあき子に結婚を申し込んできた。あき子はあまりのことに戸惑い悩む。三津田は会社社長の息子で健康な紳士だ。あき子の周囲の人間は三津田との結婚を勧めた。しかしあき子は、日高のことが忘れられずにいた。
佐伯清