1973 年 9 ⽉ 11 ⽇、チリ・軍事クーデター。世界で初めて選挙によって選出されたサルバドール・アジェンデの社会主義政権を、⽶国 CIA の⽀援のもと、アウグスト・ピノチェトの指揮する軍部が武⼒で覆した。ピノチェト政権は左派をねこそぎ投獄し、3000 ⼈を超える市⺠が虐殺された。南⽶ドキュメンタリーの巨匠パトリシオ・グスマン監督は、40 年以上にも渡りチリの弾圧の歴史を描いてきた。「光のノスタルジア」(10)「真珠のボタン」(15)に続く⼀⼤叙事詩最終章となる本作は、かつて「チリの闘い」(1975-1978)で映像に残した、永遠に失われた輝かしいアジェンデ時代の歴史と、クーデター後、新⾃由主義の実験の場となってしまった祖国の現状を、アンデスのように俯瞰した視座から改めて⾒つめ直す。
パトリシオ・グスマン