浅草雷門一家の菊川栄次郎が須崎一家の親分を斬ってから5年。ようやく出所した栄次郎は、片時も忘れられなかった恋人・おけいがいるという小田浜の町にたどり着き、偶然黒金一家の半次という男を助けたことから一家に客分として迎えられた。だが同じ客分であるマナイタの秀から、卑劣なのは黒金の親分の方で、栄次郎は成り行きとはいえ対立する石田屋一家をつぶしてしまったことを知る。そのことをわびに石田屋に出向いた時、一人娘の千津がおけいと瓜二つなのに驚く。栄次郎は石田屋一家の縄張りを預かることになり、密かに一家の再建を心に決める。黒金一家から何度も千津の営む小料理屋を救った栄次郎。二人の心の絆は少しずつ強くなっていった。そして千津を手篭めにしようとした黒金の親分に、ついに栄次郎は…。
佐伯清