奔放な母の元で、息苦しい生活を送ってきた由紀子。代わる代わる父と名乗る男が出入りする家で、いつも孤立していた。母は由紀子を「あんたの良いとこはわがままを言わないこと」と褒めた。由紀子のモノクロームの思春期に、わずかな彩りを与えてくれたのは、何人目かの父親。フォトグラファーらしかったその男からブレゼントされたカメラが、彼女の人生観を一変させる。──レンズから覗く世界は、途端に色彩にあふれる。そんな彼女の前に、「わがままを聞いて欲しい」という男が現れる。
矢野瑛彦