検察事務官・早乙女直樹は、特捜のエース検事が一枚の供述調書を作り上げていく現場に立ち会う。指導役として彼の前に立つのは、検事・如月美麗。彼女の父もまた、特捜の検事だった。標的は、IR事業に関わる衆議院議員・塚本明。「事実無根だ」と否認を貫くが証言の買収と捏造された調書が、静かに彼を絡めとっていく。秘書は去り、支援者は離れ、日常が音もなく崩れていった。事件の裏で消えたブローカー、中国マフィアの影。そして独自に真相を嗅ぎ回る新聞記者・神崎ゴウ。かつて美麗のリークで書いた一本の記事が、一人の男を"クロ"に仕立て、その人生を壊した。以来、彼は美麗に飼われている。
泊誠也