「モンソーのパン屋の娘」(62)から始まったロメールの“教訓的物語”シリーズの完結編。仕事にも家庭にも恵まれたかに見えるフレデリックには密かなたのしみがあった。昼食を決まって取るカフェで、道行く美女たちとの恋模様を夢見るのである。しかし、激情的で自由に恋に生きるクロエに出会って、すべてが変わってしまう。初めは彼を手玉に取るかのようだった彼女だが……。奔放な女性と深い仲になり、彼女の偏執狂的な情熱に翻弄され、やがて、追い詰められる男を皮肉いっぱいに描いている。
エリック・ロメール