フランドル地方のある小さな村。美しい黄金色の穂を揺らすのどかな田園風景とは正反対にそこに暮らす若者たちは静かに狂気を発酵させてゆく。少女バルブ(アドレイド・ルルー)は原罪を背負うかのように男たちと交わりを重ねてゆく。そして彼女を想うデメスター(サミュエル・ボワダン)はそんなバルブの狂気に導かれるように戦場へと駆り立てられてゆく。ブリュノ・デュモン監督は『ユマニテ』に続き本作で2度目のカンヌ国際映画祭グランプリを受賞した。
ブリュノ・デュモン
これまで3週にわたり、GWおすすめ映画として、娯楽要素の強い作品を紹介してきましたが、今回は締めとして、あるアート系のフランス映画をご紹介したいと思います。その名も『フランドル』。哲学教師の経験を持つ、フランスのブリュノ・デュモン監督が、絵画のように美しい風景を誇る故郷フランドル地方を舞台に、愛について描いた映画です。彼はこれまで、『ジーザスの日々』や『ユマニテ』で高い評価を得ながらも、その衝撃的な作風ゆえ、賛否両論を巻き起こす作家としても知られています。そして、難解とも言われているのですが…。
長編第1作目の『ジーザスの日々』が97年のカンヌ国際映画祭カメラドール特別賞(新人賞)を受賞したほか、各国の映画祭で多くの賞を受賞。そして2作目『ユマニテ』ではカンヌ国際映画祭のグランプリを受賞するなど、その卓越した表現力が定評のブリュノ・デュモン監督。その彼の新作『フランドル』はフランス映画祭で上映され、4月28日(土)に公開初日を迎える。映画祭で来日した監督に作品について話を聞いた。