商業デビュー作の長編映画『愛の残像』の制作が決まった映画監督の中島悟。中島は、方向性を見失い脚本の執筆に難航していた。初めて経験する商業映画でプロデューサーの菅野朱莉に求められているものと自分のやりたい事、そして旧友の映画監督、山岸が売れていく姿に心の奥にあった想い複雑な想いが一気にあふれる。そんな中、中島が初めて映画祭で賞を貰った映画のヒロインである美琴が突如姿を表す。中島は美琴と共に、デビュー作を放置し、映画製作を初めてしまう。美琴は何故、中島の前に姿を現したのか? その目的とは。中島は自分自身の過去や今と向き合い自身のデビュー作となる長編映画の脚本を完成させることができるのか。創作者と表現者への愛を詰めたファンタジーラブストーリー――/『24フレームの戯言』。それぞれのかたちで愛し合い、それぞれの理由で別れを選ぶ四組の恋人たち。夢を追い街を離れるミナと、その背中を見送るマユ。自分の未熟さと現実の狭間で愛を抱えきれないユウと、寄り添い続けるもすれ違ってしまうミライ。静かに離婚を決めたマコトとナオコ。そして、恋人のコウを亡くしたナギ。個人の超私的な恋愛の記憶と、誰もが抱える喪失の感情が交差するとき、残されたものは何なのか。失った人と共に流れていた時間を抱きしめながら、それでも流れる日常へ歩き出す人々を描く、静かな群像劇――/『For My Grief』。都会の雑踏の中で、自分を見失いかけている颯斗。念願の企画開発部に配属され、「好きなことを仕事にできた」はずだった。しかし理想と現実のずれは、静かに彼を追い詰めていく。そんな夜、ふと迷い込んだ不思議な喫茶店。無愛想なマスターと、ジェンガを囲む客たち。積み上げたブロックが揺れるたび、均衡を保っていた心も軋んでいく。流れに押し流されていた自分の声に、少しずつ触れていく。夜から明け方へ。止まらない時間の中で、颯斗は本来の自分を取り戻そうとする――/『よもすがら』。
藤井道人
秋葉恋
龍村仁美
吉村美雲