戦後60年、85歳を迎えようとしている上田勝弥(三國連太郎)のもとに、「五高七高対抗戦百周年記念試合」の案内状が届く。かつて第七高等学校の野球部のエースとして活躍し、その後軍医として出兵、戦後は開業医を営み、今は悠々自適に老後生活を過ごす勝弥。せっかく野球部の仲間たちが、勝弥の故郷・熊本県人吉市の球場で開催することに決めたその試合だったが、勝弥は「ワシは行かんよ」と断ってしまう。実は、彼には最も尊敬し、慕った同郷の先輩・草野正吾(緒形直人)を、なす術なく戦場に遺して帰ったという辛い過去を抱えており、いまだにその懺悔の思いを断ち切れずにいたのだ。そして記念試合の日が刻々と迫ってきた――。
神山征二郎