ある事情を抱え、都会の喧騒を逃れて田舎へとやってきたかず子(佐藤江梨子)。病にとらわれ弱り始める美しい母と、二人きりで慣れない日々を過ごすうち、彼女はしばしば言いようのない感情に襲われるようになる。そんなある日、無頼の弟・直治がふらりと戻ってくる。良家の子女として生まれ、何も知らずに育ったかず子だったが、直治の仲間・上原との出会いによって、彼女の人生は思いも寄らない方向へと動き出す――。文豪・太宰治の生誕100年を記念企画として、同名代表作を映画化。
秋原正俊
39年の短い生涯の中で、数々の傑作を生み出し、昭和の文学界の担い手の一人としていまなお愛される、太宰治。生誕100周年を迎え、まさに“太宰イヤー”と言うにふさわしく『斜陽』、『パンドラの匣』、『人間失格』と続々と著書が映画化される中、浅野忠信、松たか子ほか豪華キャストで贈る傑作ラブストーリー『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』が、このたびモントリオール世界映画祭のコンペティション部門に正式出品することが決定した。