パリ郊外にある、画家であった大叔父のアトリエに一人で暮らしていた母が亡くなり、3人の子供たちには広大な家と庭、そして貴重な美術品が遺される。相続の手続きをする中で、3人が向き合うのは、思い出に彩られた家への愛着と現実とのジレンマ、そして亡き母への想いだった――。母から子へ、また孫へと永遠に受け継がれていく家族の絆を描いた感動作。
オリヴィエ・アサイヤス
新年早々の1月3日(現地時間)、アカデミー賞へと続く賞レースのひとつである全米映画批評家協会賞(National Society of Film Critics Awards)の各賞が発表され、イラク戦争を扱った『ハート・ロッカー』が作品賞、監督賞、主演男優賞の3冠に輝いた。
母親に捨てられた幼い少年と彼の面倒を見ることになったホームレス男性の交流を描く『ベルサイユの子』と、亡き大叔父の美術品コレクションを遺された三兄妹の葛藤と思慕を描く『夏時間の庭』。現代社会の事情を反映させながら、いまを生きる人々を見つめた2作で、フランス映画界の人気俳優たちが印象深い演技を見せている。