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映画にまつわるファッション小噺 vol.9 海を越えたら上海

1930年代の上海。かなりユニークな場所だったようですね。現在でも、未来と現在、東洋と西洋が交差しているような街だけれど、当時は極東最大の都市であり、アジア経済の中心。イギリス、フランスなどが租界(外国人が行政・警察を管理する居留地区)を設定したことから、欧米からも人が集まり、ロシア革命から逃れてきたソヴィエトの亡命貴族も多く移住。華やかながらも、雑然とした雰囲気があり、退廃的なムードも漂っていたよう。さまざまな本からそんな情報が得られますが、そんな様子が手っ取り早くヴィジュアルで観られるのが、ジェームズ・アイヴォリー監督の新作『上海の伯爵夫人』。多文化が入り混じるゆえの猥雑さや日本軍侵攻による緊張感はもちろんありながらも、上海が最も輝いていた時代とも言われる1930年代。当然ながら、映画では当時のファッションも見所です。

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『上海の伯爵夫人』 メイン
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1930年代の上海。かなりユニークな場所だったようですね。現在でも、未来と現在、東洋と西洋が交差しているような街だけれど、当時は極東最大の都市であり、アジア経済の中心。イギリス、フランスなどが租界(外国人が行政・警察を管理する居留地区)を設定したことから、欧米からも人が集まり、ロシア革命から逃れてきたソヴィエトの亡命貴族も多く移住。華やかながらも、雑然とした雰囲気があり、退廃的なムードも漂っていたよう。さまざまな本からそんな情報が得られますが、そんな様子が手っ取り早くヴィジュアルで観られるのが、ジェームズ・アイヴォリー監督の新作『上海の伯爵夫人』。多文化が入り混じるゆえの猥雑さや日本軍侵攻による緊張感はもちろんありながらも、上海が最も輝いていた時代とも言われる1930年代。当然ながら、映画では当時のファッションも見所です。

社交界華やかなりし当時の上海では、色とりどりの贅沢なドレスも登場します。でも、ナターシャ・リチャードソン演じる“上海の伯爵夫人”ソフィアは亡命貴族。貧しい暮らしを余儀なくされ、生活のためにクラブでホステスをしているため、毎夜、身にまとうのは着古したドレス。かつての豊かな暮らしを髣髴させる仕立ての良いコートやかつては輝いていたであろうくたびれきったドレスが、かえって見事に物悲しさを誘っているのです。

そういえば、この時代に社交界向けのオートクチュールを仕立てていたことで、世界最高レベルの縫製技術を誇っていた上海。そんな伝統と技を受け継いで、中国らしさのあるゴージャスなファッションを展開しているのが、香港ブランド“シャンハイ・タン”。今年、シエナ・ミラーの妹サヴァンナ・ミラーがデザイナーとしてデビューしたブランドとしても今話題。アレクサンダー・マックィーンやマシュー・ウィリアムソンでも働いた経験を持つ彼女は、ロンドンの名門セント・マーティンス美術学校で発表した卒業制作コレクションがきっかけで“シャンハイ・タン”に誘われたとか。

香港に行けば必ずブティックに立ち寄るという人も多かったと思うけれど、昨年は銀座に店舗を構え、日本にも本格進出(中央区銀座5-6-16 TEL:03-3569-8801)。「サヴァンナの才能はいかほど?」と気になる方は、銀ブラついでに訪ねてみては?

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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