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出会いの季節、春を祝してvol.3 知らないわけではないのに『悲しみが乾くまで』

去る3月16日、女優のハル・ベリーが41歳にして、元気な女の子(ナーラ・アリエラ・オーブリー)を出産したというニュースが飛び込んできました。日本でも高齢出産が当たり前になっていますが、彼女の場合は糖尿病という持病を乗り越えての妊娠・出産ですから、喜びもひとしおといったところでしょう。

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『悲しみが乾くまで』 -(C) 2007 DREAMWORKS LLC.  All Rights Reserved.
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去る3月16日、女優のハル・ベリーが41歳にして、元気な女の子(ナーラ・アリエラ・オーブリー)を出産したというニュースが飛び込んできました。日本でも高齢出産が当たり前になっていますが、彼女の場合は糖尿病という持病を乗り越えての妊娠・出産ですから、喜びもひとしおといったところでしょう。

ベビーとの対面を果たした彼女の最新公開作は『悲しみが乾くまで』。日本では3月29日(土)に封切りとなりますが、このおめでたい時期だというのに、役どころは最愛の人の突然の死に直面し、悲しみに打ちひしがれる女性・オードリー。ハルとオードリーという2人の女性が、人生の中で巡りあう、生(出会い)と死(離別)について、じっくり考えさせてくれるとでも言いましょうか。

物語は、デヴィッド・ドゥカヴニー演じる夫・ブライアンが、偶然通りかかったショッピングセンターで、事件に巻き込まれ射殺される悲劇からはじまります。妻は、呆然としながらも葬式の準備を始めるのですが、そこで夫の親友・ジェリー(ベニチオ・デル・トロ)に連絡をしていなかったことに気がつきます。ジェリーは、夫の幼なじみの元弁護士。いまはヘロインに溺れ、周囲に見放されて荒れた生活を送っています。でも、生前のブライアンだけが何も言わずに彼を支えていたのです。家族との時間を犠牲にしてまで、ジェリーを面倒を見る夫に抵抗を感じていたオードリーは、ジェリーとの交流を拒絶。彼とは疎遠になっていたのです。それでも、夫の死をきっかけに再会を果たしたオードリーとジェリーは、“大切な人の死”という悲しみを黙って共有できる者として、互いを支え合うようになり…。

皮肉にも、悲しい事件が新たなる関係を導くということもあるのですね。知らない仲ではなかったけれど、何かをきっかけに関係が変化する、まるで新たなる出会いがあったかのような状況になることもあるもの。さらに、オードリーはジェリーが薬物中毒から立ち直るよう支える過程で、自分同様に最愛の人を亡くした経験を持つ女性・ケリーとも出会います。演じるのは、アリソン・ローマン。出番が少ないながら、このケリーが素晴らしい。他人との距離を保ちつつ、なんともいえない慈愛で人の悲しみを包み込むのです。アリソンは、ただでさえ良い役を本当に魅力的に演じています。彼女は、これまでに『ホワイト・オランダー』『マッチスティック・メン』『ビッグ・フィッシュ』『秘密のかけら』などに出演。演技はとても静かで穏やかなのに、常に存在感が濃い。彼女の周りだけ、まるで特別な空気が取り巻いているかのよう。これが、オーラというのでしょうか。演じている役が、善悪にかかわらず魅力的に見えるのは、女優としての力量といえるのかもしれません。

作品自体も、悲しみを乗り越えての新たなる人生、新たなる出会いを描いたものですが、私にとってはアリソン、そして彼女が演じた慈愛に満ちたケリーとの出会いがとても印象的だったのでした。

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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