現役法廷画家が目にしたあの重大事件の裏側とは…『ぐるりのこと。』から裁判を考える

ある夫婦の10年の歩みから人と人の繋がりの温かさを描き、静かに話題を呼んでいる『ぐるりのこと。』。本作でリリー・フランキー扮する主人公・カナオの職業が法廷画家であることから、6月21日(土)に「法廷画家のお仕事。〜映画『ぐるりのこと。』から考える裁判」と題したイベントが開催された。当日は橋口亮輔監督と、現役の法廷画家である染谷栄さんによるトークショーが開催された。

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『ぐるりのこと。』公開記念イベントにて 橋口亮輔監督(右)と現役の法廷画家・染谷栄氏
  • 『ぐるりのこと。』公開記念イベントにて 橋口亮輔監督(右)と現役の法廷画家・染谷栄氏
ある夫婦の10年の歩みから人と人の繋がりの温かさを描き、静かに話題を呼んでいる『ぐるりのこと。』。本作でリリー・フランキー扮する主人公・カナオの職業が法廷画家であることから、6月21日(土)に「法廷画家のお仕事。〜映画『ぐるりのこと。』から考える裁判」と題したイベントが開催された。当日は橋口亮輔監督と、現役の法廷画家である染谷栄さんによるトークショーが開催された。

染谷さんはこれまで、先日刑が執行された宮崎勤死刑囚や、地下鉄サリン事件の松本智津夫死刑囚など、社会を震撼させた事件の裁判を目の当たりにしてきた。映画については「劇中に出てくる法廷が寸分違わずびっくりしました。判決のシーンで、報道記者が飛び出すシーンや、腰を浮かせて待っているシーンなど、ひとつひとつの描写が細かく、リアルだなと思いました。撮影の合間に裁判長席に座らせていただいて感動しました(笑)」と感想を語った。

1993年の甲府信用金庫事件から始まった、法廷画家としての仕事について染谷さんは「最初は年に数回しか仕事が来なかったんですが、95年の地下鉄サリン事件から急に増えて、1年間で149件の法廷に行きました。初めは仕事というより使命感の方が強かったですね。どんな風に描いても放送されてしまうという緊張感で、とても仕事として描けなかったです」とふり返った。先日、死刑が執行された宮崎勤死刑囚の事件(上写真にある法廷画は当事件で使用されたもの)に話が及ぶと「彼は、自身の裁判中にもかかわらず、 他人事のように鉛筆回しをしていました。入廷するときにしか被告の顔は見られないのですが、少し微笑んでいたというか…。『緊張感のなさを伝えなければ』と思いながら描きました」と裁判に立ち会うことの重みを感じさせるコメントを残した。

「最近の事件やニュースを見て、映画の世界と現実が地続きで繋がっているような、何とも言えないリアルさを感じる」と語る橋口監督。映画のために何度となく裁判に足を運んだとのことだが、「常々、ドラマなどの法廷シーンに違和感を持っていました。重大な事件が裁かれる東京地裁104号法廷は、窓もなく平面で何の変哲もない空間で、被告もそれ以外の人もみんな一緒にそこにいるわけです。裁判官も検事も弁護士もみんな普通の人で、“日常の延長線上にある法廷”という感じが面白いと思いました」と語った。

さらに、法廷シーンの後にリリーさんから「人は鬼にはなれない」というメールをもらったことを明かし、「普段はいいかげんなオヤジだけど(笑)、人の本質を見ているんだな、と思いました」とも。

映画を観て、改めて裁判について考えてみるのもいいかも。『ぐるりのこと。』はシネマライズ、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開中。
《text:cinemacafe.net》

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