夏の夜空の「悲恋」といえば、天の川と共に流れる“七夕”の物語。天の神様の一人娘・織姫と、天の牛を飼っていた青年・彦星。共に一目惚れで結婚。しかし、お互いに心底惚れた2人は仕事を忘れ、毎日逢瀬を重ね、そのあまりのラブラブっぷりに天の神が怒り、ついには天の川の両岸で暮らすことを命じられ、7月7日の七夕の夜だけにしか逢うことが許されなくなってしまったというもの。
そんな仕事を忘れ、我を忘れるほど、互いを愛し合える恋は現実世界にはそうそう落ちてはいなが、この夏のスクリーンの中ならば、悶えるような恋の物語に出会うことができる。
まずご紹介したいのは、スタジオジブリの最新作『風立ちぬ』。ジブリなのに「悲恋」? と思うかもしれないが、本作は宮崎駿監督が初めて手がける“大人の恋”が描かれるのだ。舞台となるのは、関東大震災から戦争突入へと揺れる大正から昭和の時代。そんな激動の時代の中、運命的な恋に身を焦がすのは、零戦の設計者である堀越二郎と文学者・堀辰雄の2人にインスパイアされた二郎と、結核を病む少女・菜穂子だ。果たして、ジブリが描く“大人の恋”とはどんなものになるのだろうか?
次は綾野剛×黒木華の競演で話題の『シャニダールの花』。鬼才・石井岳龍監督が描く、限られた女性の胸にだけに世にも美しい花“シャニダールの花”が咲く、という奇妙な病が存在する独特の世界が展開する本作。綾野さんと黒木さんが演じるのは、その花を研究する植物学者の大瀧とセラピストの響子だ。花が咲いていくのと並行して、徐々に惹かれ合っていく2人は、その真っ赤な花によって運命を狂わせていくこととなる。静かに毒の香りが漂う危険な作品となっている。
最後は、主演の真木よう子が大胆な濡れ場を披露していることで注目を集めている『さよなら渓谷』。吉田修一・原作の本作で描かれるのは、愛憎渦巻く悲しい恋。過去の被害者と加害者の関係だった男女が夫婦として生きる、その心の葛藤がある事件と共にサスペンスフルに描かれる。憎しみの絆で結ばれた男女の不可解な心の闇と愛に、思わず圧倒されるはずだ。
「好き」という綺麗な言葉だけでは終わらない、人間の複雑な葛藤を孕んだ悲しき恋の数々。あなたはどんな「悲恋」の映画に悶えただろうか?
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