【シネマVOYAGE】“芸術”で感じる静謐な旅…『ふたりのアトリエ~ある彫刻家とモデル』

人はふとした瞬間に自分の人生を見つめることがある。いまの仕事は本当に自分に向いているんだろうか? この生活をずっと続けていいんだろうか? やりたいことは何だろうか? そんなふうに自分の中に生まれた小さな迷いの…

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『ふたりのアトリエ~ある彫刻家とモデル』 -(C) 2012 Fernando Trueba PC. , All rights reserved.
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人はふとした瞬間に自分の人生を見つめることがある。いまの仕事は本当に自分に向いているんだろうか? この生活をずっと続けていいんだろうか? やりたいことは何だろうか? そんなふうに自分の中に生まれた小さな迷いの答えを得るために、旅に出たいと思うこともあるだろう。違う場所、違う言語、違う国…いまとは違う環境に身を置くことで人生観は変わる、変えてくれるんじゃないかという期待を旅にゆだねるのかもしれない。

今回の「シネマVOYAGE」で紹介する『ふたりのアトリエ~ある彫刻家とモデル』は、芸術と共に生きた老彫刻家と彼によって芸術を知る若いモデルのお話。

舞台は1943年、占領下のフランス南西部。名高い彫刻家でありながらも作品を作る気も生きる希望さえも失いかけていた80歳になるクロスは、妻が連れて帰ってきた若く美しい娘・メルセとの出会いによってもう一度輝き出す。一方、田舎育ちで芸術とは無縁だったメルセはクロスと出会ったことで芸術に興味を持ち、人生観も変わっていく。

自然の中に佇む小さなアトリエをメインに描かれるこの物語には観光名所は出てこない。登場人物の会話もそれほど多いわけではなく、とてもとても静かな映画だ。ではあるけれど、静かな中にこそ熱いもの、秘めたものが存在することもあるわけで──。

クロスの作る彫刻のモデルとして美しい裸体をさらけ出すメルセ。女性の体はこんなにも美しいものなのかとうっとりとさせられ、クロスとメルセは互いに何を感じているのか? 何を考えているのか? と想像し、アトリエにいる2人の心を読み取ろうとすることで自分もその世界に入り込むことができる。その不思議な感覚がまず面白い。また、この映画はモノクロームの世界。実際はどんな色をしているんだろう? と色彩を想像することも面白く、光の美しさにも感動する。

主人公のクロスはフランスの彫刻家アリスティド・マイヨールの人生をモチーフにしていることもあり、劇中には彼の代表作の一つ“地中海”を思わせる彫刻が登場する。その彫刻に魅せられたとしたら、実際にマイヨールが作った彫刻を見に行く旅、フランスのパリにあるマイヨール美術館を訪ねる旅というのもいい。

そのときに持っていきたいのは、もちろんスケッチブックと鉛筆。コンパクトカメラや携帯のカメラで何でも簡単に記録できる現代ではあるけれど、クロスがメルセをスケッチしたように、たまには目の前にある美しいものを自分の手で記録する、そんな旅をしてみたいと思わせてくれる映画だ。
《text:Rie Shintani》

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