【インタビュー】エレン・ペイジ 『ザ・イースト』の世界は刺激的…“苦労”に飢えた26歳

エレン・ペイジはいつだって観客をドキドキさせてくれる。14歳の少女がインターネットで知り合った男を罠にかける『ハード キャンディ』、16歳で思いがけない妊娠を経験する『JUNO/ジュノ』といった、ちょっぴり普通じゃない…

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エレン・ペイジ『ザ・イースト』/(C) Getty Images
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  • エレン・ペイジ&ブリット・マーリング『ザ・イースト』/(C) Getty Images
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エレン・ペイジはいつだって観客をドキドキさせてくれる。14歳の少女がインターネットで知り合った男を罠にかける『ハード キャンディ』、16歳で思いがけない妊娠を経験する『JUNO/ジュノ』といった、ちょっぴり普通じゃない役柄の珠玉作から『X-MEN:ファイナル ディシジョン』や『インセプション』などの超大作にも出演。名実ともにハリウッド映画を代表する女優となった。

そして、新作『ザ・イースト』では、彼女のフィルモグラフィーをまたひとつ輝かせる魅力的なキャラクターに挑戦している。今度の役は環境テロリスト集団“イースト”のメンバーのひとり、イジーだ。

「イジーを演じるにあたっては、さまざまなアナーキストの書物をかなり読んだわ。彼らの持つ極端なメンタリティーに入るためにね。彼らが自分たちの行動をどう感じ、どう考え、どう正当化しているのか、そういうメンタリティーを知る必要があったの」。

イジーはテロリスト集団の中でも狂信的な支持者だ。「彼らの行動は倫理的な疑問をたくさん投げかけてくる。ほかの人を犠牲にして特定の人々が快適に暮らすような不平等を終わらせたいと思っている。とても扱いにくい真実だと思うわ」と言うように、信者としてテロリストとしてのめり込んでいくイジーを演じることは決して簡単ではなかったはず。
エレン・ペイジが大切にするのは、「どんな役であっても善悪を決めつけない」こと。そこに“演技派”という形容詞を持つ彼女の実力が隠されている。

「以前に出演した『ハード キャンディ』でも復讐する女の子を演じたけれど、自分が役者としてすべきことは、たとえ復讐という行動に同意していなくても、彼らの痛みを深いところで理解し、彼らの物事の見方を知り、彼らの思う正義に向かっていく想いや衝動、情熱を理解していくことだと思っているの。今回のイジーという役については、彼女が抱える大きな痛み、内なる苦しみ、それが彼女の世界の見方にそのまま影響していると理解して演じたわ」。

イジーが身を置く“イースト”に潜入捜査員としてやって来るサラ(ブリット・マーリング)。彼女の訪問によって“イースト”の存在、環境汚染や健康被害をもたらしている大企業の不正、被害者たちの悲劇が明らかになっていく。観客はサラやイジーの目を通して考える──真の正義とは何か? 本当の悪とは何か?

「常に誰しもが悩むところよね。この映画に出会う前にエコビレッジに滞在したことがあるし、日常生活でもできるだけゴミを出さないようにしたり、消費というものに意識を向けて生きようとはしているわ。たとえば、朝起きて仕事場に向かうときに車に乗るでしょう? 毎日自分が起こしている行動、それが地球にとってはネガティブなものだったんだと考えずにはいられなくなったわ。でも、現代を生きるうえで難しいのは、正しく生きたいと思っても今のインフラではそれが困難だということね。それでも人に対して思いやりを持てる生き方をしたいと思っているわ」。

“イースト”の本拠地となる荒れ果てた屋敷。見るからに撮影が過酷だったことは容易に想像がつく。しかもそのセットで出演者たちは実際に生活をし、自然と文明の間の不安定な世界を体験する。熱源もエアコンもない部屋で30人が身体を寄せ合って眠ったこともあった。その経験によって「美しい形で深い絆を築くことができた」とエレン・ペイジは語る。

「とても美しい体験だったわ。新しい環境の中で見知らぬ他人同士が集まって、お互いの言うことに耳を傾け、経験を分かち合い、一緒に映画を作ることができた。それは全員がこの物語とブリット(サラ役・脚本・製作)とザル(・バトマングリ監督)のことを信じていたからだと思うの。それに、苦労は自分にとってのチャレンジだと思っていて、私にとってはエキサイティングなこと。大変な状況の方が楽しいの。だって、エキサイトしないと飽きてしまうでしょう(笑)」。

この好奇心旺盛な性格が彼女の魅力であり、次々と新しい役、しかもひねりのある役を引き寄せるのかもしれない。けれど、実際に“イースト”のメンバーと知り合ったとしたら、そのメンバーに加わる可能性は? という問いには、笑って「答えはノーよ!」と自分の考えを言葉にする。

「暴力を介して人を助けられるとは信じていないし、歴史をふり返っても、非暴力的なムーブメントで成功しているケースはたくさんある。どんなに厳しい状況でも人に対する思いやりをなんとかして見つけたいと思うタイプだから、“イースト”に入ることはないわね。暴力の連鎖を作るようなやり方、あるいは極端な思想というのは私には無理。でも、イジーを演じることは最高の体験だったわ。彼女は恵まれた生活をしてきて、ある時、自分のライフスタイルには欠陥があるということを知ってしまうの。それが彼女のメンタリティーを変え、行動に出させる…そういう役どころだと理解しているわ」。

彼女にとっての面白い映画、素晴らしい映画の定義のひとつは「映画を観た後に、どんなことを感じたのか、友だちと深く語り合うことのできる映画」であること。そういう意味では、『ザ・イースト』はまさにそれに当てはまる。すっきりとした納得のいく答えを提示する終わり方では決してないけれど「質問を投げかけている映画」それこそが大切だと26歳の若き女優は伝える。

「たとえば、私たちが食べているハンバーガー、毎日使っているエネルギー、手にとっている商品、それが結果的にどんな因果を生むのか、それを知ると物の見方が変わる。今までそういうことを考えたことがない人、目を向けたことがない人にとってはこの映画を観て初めて知ることも多いと思うし、物の見方が変わるきっかけになるかもしれない。見方が変わることによってその人の生き方も変わるんじゃないかしら」。
《text:Rie Shintani》

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