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アカデミー賞はこうして決まる!授賞式前に知っておきたいトリビア【2024年版】

前哨戦で圧倒的な強さを見せた『オッペンハイマー』が最多13部門ノミネート、昨年の世界最大のヒット作となった『バービー』、『パスト ライブス/再会』、『落下の解剖学』と女性監督による3作が作品賞に同時ノミネートされる史上初の快挙で大注目の第96回アカデミー賞。気になる受賞結果は3月11日(日本時間)に発表される。

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アカデミー賞/Photo by Andrew H. Walker/Getty Images
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  • アカデミー賞/Photo by Kevin Winter/Getty Images
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前哨戦で圧倒的な強さを見せた『オッペンハイマー』が最多13部門ノミネート、昨年の世界最大のヒット作となった『バービー』、『パスト ライブス/再会』、『落下の解剖学』と女性監督による3作が作品賞に同時ノミネートされる史上初の快挙で大注目の第96回アカデミー賞。気になる受賞結果は3月11日(日本時間)に発表される。

年を追うごとに、多様性を目指す進化を続けるアカデミー賞事情についておさらいしてみよう。



<2024.3.1更新>
◆対象となる作品は?
◆誰が決める?
◆会員はどんな構成?
◆発表まで管理するのは?
◆司会者は3度目となるジミー・キンメル



対象となる作品は?


長編映画に関しては前年の1月1日から12月31日の間に、ロサンゼルス郡内の商業映画館で1日3回以上の上映回数で少なくとも7日間連続して有料上映された40分以上の35ミリか70ミリ、あるいは指定のデジタル・フォーマットの実写、アニメーション、またはドキュメンタリー作品。並行して配信やVODなどでの上映は可能だが、劇場公開前にテレビ放映やネット配信、ビデオ発売されているものは対象にならない。

今年から作品賞へのエントリーの条件として、アカデミー・インクルージョン・スタンダードの書類(RAISE)提出が義務づけられる。多様な世界を反映するべく、人種や民族、性的マイノリティや身体に障害を持つ人々の雇用を含めた表現とインクルージョンに関する4つの基準(A:画面上の表現、テーマ、物語 B:クリエイティブなリーダーシップと企画チーム C:業界へのアクセスと機会 D:観客の開拓)のうち2つを満たすことが応募資格となっている。

なお、昨年の主演女優賞候補になったアンドレア・ライズボロー(『To Leslie トゥ・レスリー』)のキャンペーン活動をきっかけに、事前のキャンペーンについての新ルールも設けられた。

昨年、サプライズとなったライズボローの候補入りは、低予算作で宣伝費が潤沢ではなかった同作の監督夫妻がアカデミー会員にメールや電話でアピールしたのが始まり。作品を見たケイト・ウィンスレットやシャーリーズ・セロンらが上映会を開き、SNSで作品やライズボローを絶賛する草の根運動に発展したが、作品を見たアカデミー会員がノミネーションでの投票を呼びかけたり、別候補を名指しで非難するコメントがアップされるなど、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の定めたルールに抵触するのではと問題視されたのだ。

2023年5月にプロモーション・キャンペーンのルール改正が発表され、アカデミー会員が出席するプライベートなイベントへのスタジオや映画会社の関与、SNSで会員が自身の好みや投票する候補について、戦略、資格要件に言及することも禁止となった。



誰が決める?


映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の会員による無記名投票で決定する。会員は劇場公開される長編映画の製作に携わるプロのアーティストたち。俳優、脚本家など、各分野にわたって18支部に分かれている。ノミネーション投票では、各賞それぞれ該当する部門のプロフェッショナル(俳優部門は俳優、編集部門は編集者)が投票する。製作・監督・俳優などを兼任する場合、1人で複数の支部に入ることはできず、無所属(Members At Large)という扱いになる。作品賞、長編アニメ映画賞は全ての会員に投票権がある。

ノミネーションが決定した後の最終投票では、全部門が全会員の投票対象となる。

第96回アカデミー賞ノミネーションは1月23日(現地時間)に発表、最終投票は2月22日(現地時間)に開始され、2月27日(現地時間)に締め切られる。




会員はどんな構成?


現在の正会員総数は10,665名で、投票資格のある会員は9,665名。

2023年現在の会員総数は名誉会員を加えて10,772名で、投票資格のある会員は9,797名。

AMPASは2016年、白人男性が圧倒的多数だった会員構成の見直しにとりかかり、女性やアフリカ系などマイノリティの会員数を2020年までに2倍にすると発表。毎年、女性やマイノリティを中心に招待している。

AMPASの公式サイトによると、2023年には398名に招待状を送付。うち52パーセントが米国外の50の国と地域から招待され、40パーセントが女性、34パーセントが少数民族/人種のコミュニティに属する。

現在、副会長クラス以上のアカデミー幹部のうち、71パーセントが女性で、42パーセントが証す民族/人種コミュニティの出身だ。

第95回で助演男優賞を受賞したキー・ホイ・クァン、主演男優賞候補になったオースティン・バトラー(『エルヴィス』)とポール・メスカル(『aftersun/アフターサン』)、助演女優賞候補のケリー・コンドン(『イニシェリン島の精霊』)とステファニー・スー(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)、ニコラス・ホルトやパク・ヘイル、チャン・チェンらと並んで、日本からは安藤サクラと岩井俊二が招かれた。

テイラー・スウィフトやザ・ウィークエンドが音楽部門で招待され、ほかに『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の監督コンビのダニエルズ、『生きる LIVING』で脚色賞候補だったカズオ・イシグロらもリストに含まれている。



発表まで管理するのは?


大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)。最終投票が集計されてから授賞式でプレゼンターが封筒を開けるまで、結果を知っているのは同事務所の担当2人だけ。

2017年には担当者が封筒を渡しまちがえて、作品賞受賞作が『ラ・ラ・ランド』と発表された直後に『ムーンライト』だと訂正される大失態が発生。授賞式のクライマックスで大混乱を引き起こした2人は今後授賞式の任務に関わることはないと発表された。




司会者は4度目となるジミー・キンメル


新型コロナウイルスによるパンデミックの最中の第93回(2021年)は感染予防対策としてロサンゼルスのユニオン駅を会場としたり、第94回(2022年)は生放送の時間短縮を目的に8部門の授賞を事前収録して映画業界内外から非難されるなど、試行錯誤が続いたが、会場は第94回から従来通りのハリウッド&ハイランドセンター内のドルビーシアターとなり、昨年の第95回は全23部門の授賞が生中継された。

今年は授賞式の放送開始が例年より1時間早まって、午後4時(現地時間)にスタート予定。レッドカーペット中継も90分に短縮される。

司会者は昨年に続いて4度目の登場となるジミー・キンメル。これは名優ジャック・レモン、そしてウーピー・ゴールドバーグと並ぶ歴代4位の登場回数。ちなみに1位は伝説的なコメディアンのボブ・ホープ。1940年から1978年まで19回、司会を務めた。

前哨戦を軒並み制覇してきた『オッペンハイマー』の勢いが止まらない中、昨年に続いて今年も新たな歴史が刻まれそうだ。

主演女優賞でリリー・グラッドストーン(『キラー・オブ・ザ・フラワームーン』)が受賞すれば、ネイティブ・アメリカンの血を引く俳優として史上初となる。同作のマーティン・スコセッシ監督は81歳にして監督賞にノミネートされ、受賞すれば史上最年長の記録更新となる。同部門で10回候補になったのも存命中の映画監督として新記録だ。

主演男優賞では、コールマン・ドミンゴ(『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』)が受賞すれば、アフロ・ラテン系として初となる。

作品賞に『落下の解剖学』、『パスト ライブス/再会』、『関心領域』と非英語作品が3本ノミネートされ、多様な世界の反映を実践する第96回アカデミー賞。長編アニメ映画賞に『君たちはどう生きるか』、国際長編映画賞に『PERFECT DAYS』、視覚効果賞に『ゴジラ-1.0』、と日本映画3作が候補となった各部門にも注目が集まっている。

《冨永由紀》

好きな場所は映画館 冨永由紀

東京都生まれ。幼稚園の頃に映画館で「ロバと王女」やバスター・キートンを見て、映画が好きになり、学生時代に映画祭で通訳アルバイトをきっかけに映画雑誌編集部に入り、その後フリーランスでライター業に。雑誌やウェブ媒体で作品紹介、インタビュー、コラムを執筆。/ 執筆協力「日本映画作品大事典」三省堂 など。

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