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【インタビュー】大躍進ムロツヨシの原動力「19歳の自分に恥をかかせてはいけない」

テレビドラマや映画、舞台はもちろん、CMやバラエティ番組など引っ張りだこの俳優・ムロツヨシ。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍をみせるムロさんだが、アニメーション映画『ボス・ベイビー』で、自身初となる洋画吹き替えに挑戦。

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ムロツヨシ『ボス・ベイビー』/photo:Masakazu Isobe
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  • 『ボス・ベイビー』 (C) 2017 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.
  • 『ボス・ベイビー』(C) 2017 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.
  • ムロツヨシ『ボス・ベイビー』/photo:Masakazu Isobe
  • 『ボス・ベイビー』(C) 2017 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.
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  • 『ボス・ベイビー』(C) 2017 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.
テレビドラマや映画、舞台はもちろん、CMやバラエティ番組など引っ張りだこの俳優・ムロツヨシ。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍をみせるムロさんだが、アニメーション映画『ボス・ベイビー』で、自身初となる洋画吹き替えに挑戦。見事な演技で、さらなる表現の幅を広げている。

■気負わず先入観を持たないことで、役柄に余白ができる!


ムロさんが吹き替えを行なったのは、アレックス・ボールドウィンが声を当てた主人公ボス・ベイビー。赤ん坊だがおっさん、おっさんだが赤ん坊というユニークな役柄で、緩急のきいた表現力が要求されるが「吹き替えにはいろいろなやり方があるようなのですが、僕はテクニックを知らないので、あまり先入観を持たず、台本を読んだときに感じた汲み取り方で表現しました。僕のキャラクターを知ったうえでオファーしていただいたと思うので、あまり気負わず難しく考えずに挑みました」と自然体で臨んだことを強調する。

『ボス・ベイビー』(C) 2017 DreamWorks Animation LLC. All Rights Reserved.
“先入観を持たない”というのは、ムロさんにとって作品に臨むうえでの大切にしていることだという。「今回のお仕事もそうですが、台本を読み込んで現場に臨むのは当たり前のことなのですが、あまり役柄を決めつけすぎると余白がなくなってしまう。若いころ、ガチガチに作りこんでいって失敗した経験を何度もしているので、撮影や収録の初日というのは、余白を持っていくようにしています」と俳優としてのスタイルを語る。

ムロさんが大切にしているこうしたスタンスについて「“ノリ”といってしまうと軽くなっちゃうんですけれどね」と前置きすると「その瞬間に生まれたものって、長くじっくりと温めて演じたものよりも、賞味期限が長かったりすることって意外と多いんですよ」と持論を展開する。しかし、その一方で「もちろん考えれば考えるほど深みを増すこともあるんですけれどね」と臨機応変に対応することの大切さも語る。

ムロツヨシ『ボス・ベイビー』/photo:Masakazu Isobe

■19歳の自分に恥をかかせてはいけない!


前述したように、近年、とにかく出演作が途切れることがない活躍をみせるムロさんだが、20代は、いわゆる“食べられない”時期もあり、かなりつらい思いもしたという。そんななか、俳優業を辞めずに続けてきたのは、19歳で大学を退学し、役者の道に進もうと決めたときの決意がよりどころとなっていたようだ。

「19歳のとき、役者になると決めたのですが、そのときは大失敗する可能性や、失敗したときどうなるのか、マイナスのシミュレーションをたくさん行なって、それでもなおかつ大学を辞めて役者の道に進もうと思ったんです」と語り出すと「そこからまったく目が出なかったのですが、ある意味で20代は、そのときの決断が自分のなかでは重大なことだったので『そう簡単にはやめられない』という意地で役者を続けていた気がします」と当時を振り返る。

ムロツヨシ『ボス・ベイビー』/photo:Masakazu Isobe
そんななか、転機となるきっかけとなったのが、26歳のときだったという。「それまではうまくいかなくても、芝居だけしていれば誰かが絶対見てくれるという甘い考えだったのですが、26歳のとき、芝居する場所もなにもなくなってしまって、自分から動かなければ誰の目に留まらないと思ったんです」と考え方をシフトチェンジした。そこからは“意地”ではなく“19歳のときの自分に恥をかかせてはいけない”という思考に変わったという。

そこから少しずつ、自身をアピールし、映像の世界にも顔を出すようになった。すると「映画やドラマに出た喜び」は、なにものにも変えられない特別な感情としてムロさんの心に宿った。仕事がどんどん楽しくなっていったという。

ムロツヨシ『ボス・ベイビー』/photo:Masakazu Isobe

■仕事を待っているだけでは限界がある


20代のムロさんは「食える役者になりたい」という強いエネルギーと野心に突き動かされていたという。30代を経て40代になり「いまは、たまたま3か月先ぐらいまでは、なんとか食えるようになってはいますが、次の目標を見つけて、その気持ちを継続させるのはすごく難しい作業なんです」と課題をあげる。

こうしたムロさんの俳優業のモチベーションを維持する大きな要因となっているものが、ライフワークとして行なっている舞台「muro式」だ。この舞台は今年で10年目を迎えるが、自身で劇場を選び、すべてを取り仕切る。「きついし面倒くさいですし大変なんです」と愚痴をこぼすが、この舞台こそ、ムロさんが俳優として光り輝ける根源となっているというのだ。

ムロツヨシ『ボス・ベイビー』/photo:Masakazu Isobe
「役者は与えられた役を演じるのが仕事なのですが、待っているだけでは、限界があって、僕なんかはすぐ数年でいなくなってしまうと思うんです。でも『自分が面白いと思うものはこれですよ』と表現できる場があるということは、『自分がいまの自分でいていいよ』という証になるし、みんなが僕に思っている以上の表現の仕方を舞台で試したり、見ている人にお知らせしたりすることもできるんです」。

■42歳の新人賞は「素直に嬉しかった」



ムロツヨシ『ボス・ベイビー』/photo:Masakazu Isobe
緩急自在な表現力と人柄のムロさん。2018年2月に行なわれた第42回エランドール賞では、42歳にして新人賞を受賞した。「この年で新人賞というのは笑っちゃいますし、スピーチではちゃかしてしゃべってしまいましたが『将来性を期待される有望な役者』という定義だったので、素直に嬉しかったです」と笑顔をみせると「逆にいうと、それだけ僕が若いときになにもなかった人間だったということなんです。それは自分が一番よくわかっていました。忙しくなればなるほど、なんで自分に仕事がなかったのかわかるんです」と若かりしころを振り返る。

このように、自身の明と暗をしっかり理解しているからこそ、いまのムロさんの光の部分が輝いてみえるのかもしれない。
《text/photo:Masakazu Isobe》

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