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【インタビュー】岩田剛典、新境地を開いて見据える新たなビジョン「現状維持で満足しない」

『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の主人公・鮎川樹を演じる岩田剛典にインタビュー。誰かを好きになるとは、どういうことなのか? 岩田さんの恋愛観や仕事観をたっぷり語ってもらった。

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岩田剛典『パーフェクトワールド 君といる奇跡』/photo:You Ishii
岩田剛典『パーフェクトワールド 君といる奇跡』/photo:You Ishii
  • 岩田剛典『パーフェクトワールド 君といる奇跡』/photo:You Ishii
  • 岩田剛典『パーフェクトワールド 君といる奇跡』/photo:You Ishii
  • 岩田剛典『パーフェクトワールド 君といる奇跡』/photo:You Ishii
  • 『パーフェクトワールド 君といる奇跡』制服姿 (C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会
  • 『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会
  • 『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会
  • 『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会
  • 『パーフェクトワールド 君といる奇跡』制服姿 (C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会
成績優秀でスポーツ万能で爽やかなイケメン。『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の主人公・鮎川樹の高校時代は絵に描いたような学園の王子様だ。演じる岩田剛典も、おそらくそんな感じだったのでは? と思いきや、「いや、ずっと男子校だったので。下級生の女の子と会話する経験なんてなかったです」と笑う。28歳で、回想シーンとはいえ高校生を演じるのは「ギリギリでしたよ。もう気持ちで演じるしかなかった。でも、そこから高校生らしさも出ると思うので」。

『パーフェクトワールド 君といる奇跡』制服姿 (C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会
映画の舞台はそれから7、8年経った頃。杉咲花が演じるインテリアコーディネーターの川奈つぐみが、仕事を介して偶然再会した憧れの先輩・樹は建築士になる夢を叶えていたが、大学時代に事故に遭い、車いすでの生活を余儀なくされている。有賀リエの原作漫画と同様、映画は初恋の先輩に対するつぐみのひたむきな恋心を通して、2人が直面する数々の壁と真摯に向き合う姿を描いていく。
「少女漫画はあまり読んだことがなかったので、原作を読んで、こんなにも障がいと真摯に向き合ったラブストーリーがあるというのは新鮮な驚きでした。ラブストーリーを演じた経験はありましたが、こういうテイストのものはいままでやっていなかったので」とオファーを受けた理由を語る。

障がいを抱えたキャラクターを演じるのも初めてだった。「そこが難しさでもあり、やりがいでもありました。障がいと向き合う恋愛、生活、家族や仕事場の環境や心情も細かく描いている作品だと思います。そういうリアリティも含めて、単なる恋愛映画ではない部分にも、僕はこの作品の魅力があると思っています」。

車いすバスケを披露「実は一番体力的にはきつかった」


樹のモチーフになっているのは実在する建築士の阿部一雄さん。岩田さんも撮影前や現場でも阿部さんと会って話を聞いた。「阿部さんは幼い頃から車いす生活だったわけではなくて、樹と同じように、大人になってから事故に遭い、いまは1級建築士として活躍されています。あんなにエネルギッシュな方には普段なかなか会えない。それぐらい明るくてパワーに満ちあふれている方です」。その前向きな姿勢について「障がいを負って、自分の中で整理がつくまでは消化できない部分あるはずですけど、それを1周も2周も3周もして、フラットになったときって、すごく強い」と語る。「樹もつぐみと再会したときは、とっくにそんなものは乗り越えている。だから、変に暗く引きずるような役作りやめようと思いました」。 

岩田剛典『パーフェクトワールド 君といる奇跡』/photo:You Ishii
苦しみを越えた姿に説得力を持たせる具体例が、車いすでの演技だ。自分の脚として使いこなし、車いすバスケットボールのシーンもある。見事に体の一部にしているが、多忙を極めて時間も限られた中、どうやって身につけたのだろう。
「天才なんですかね、やっぱり(笑)」とまずジョークで切り返しながら、「でも、練習は必要でした。日常生活の動きは結構すぐにできましたけど、バスケットボールには苦労しましたね」とふり返る。
「バスケとなると、マシンも変わるんです。高さが変わるだけで恐怖心が増す。それも実際乗ってみないと気づけないことです。スピードもものすごく出るし、右手でドリブルするときは左手が足なので、車輪を左手でこいで…」と複雑な動きを強いられる。パラリンピック出場者もいる社会人チームと練習し、彼らと一緒の出演シーンは1日ですべて撮りきった。「決めカットもありますが、長回しでずっと試合を撮って。ドキュメンタリーみたいな感じです。実は一番体力的にはきつかったです」。

岩田剛典『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会

困難を乗り越えるために必要なのは“努力”「結果が自信につながる」


樹は事故で脊髄を損傷し、胸から下が麻痺しているという設定。「腹筋が使えないので、例えばあいさつするなら、どこかで自分の体を支えなければならない。できる動き、できない動きがあるんです。そういうリアリティは気づかない方々も多いだろうけど、わかる方が見たら、樹がどういう状態なのか説明しなくても気づいていただけるように、と気をつけました」。

樹はハンデを背負いながらも1級建築士という夢を諦めずにかなえた。「樹には、自分の中で譲れない順番がある。そこには男としてすごく共感できます。自分にとっても今、仕事は何より優先したいことだと思うし。樹は仕事以外は全部もう諦めていて、何に対しても光を見いだせない。ただ、唯一実現したい夢が仕事だというところに、ぶれない強さを僕は感じました。見習いたいぐらい真っすぐだと思ったし、すごく共感できる部分ありましたね」。

『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会
夢を叶えるため、困難を乗り越えるために心に留めていることはあるかと尋ねると、まず「結果が自信につながると思います」という答えが返ってきた。「不安や困難があるときって葛藤もすると思うんですけど、結局自分に自信をつけ、乗り越えるしかないんですよ。そのために何が必要か、一言で言っちゃうと努力しかなくて。シンプルに、直結する努力でもいいんだけど、要は自分が自信を持ってそこに立ち向かっていくための努力です。いろんな方法や角度があると思う。ただシンプルにその仕事を突き詰めるだけでもいいし、逆に自分のよりどころみたいなものを別に作るのもあると思う。自信をつけるための過程は自分で見つけないといけない。人を頼るでも、自分に頼るでもいいんだけど、モーション起こさないといけないと思います」。

仕事に徹して生きてきた樹の心に変化をもたらすのが、最初は仕事を介して彼を支えたつぐみの存在だ。そんな彼女と恋人同士になり、やがて樹は彼女に「川奈にしてあげられることが、あまりにも少なくて、辛い」と言う。誰かを好きになるということは、その人のために何かをしてあげたい気持ちになること。そんな当たり前のことを改めて気づかせてくれる作品でもある。

「そうかもしれない」という岩田さんにとって、誰かを好きになるとは、どういうことなのかを聞いてみた。「誰かを好きになる…」とつぶやきながら考えて、こう語り始めた。「その人の笑顔が見たいとか、その人が喜ぶ姿が見たいとか。意外とそんなことなのかな、最初は。笑顔を見て、好きになっていくのかなという気がします。それをもっともっと自分でつくっていきたいとか、その人のために何かしてあげて喜んでもらいたいとか、そういう気持ちなのかな」。

『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会

今後はもっと貪欲に「待ってるだけじゃ駄目」


現時点で“譲れない順番”の筆頭は、やはり仕事。「そうなってます、いまは」という岩田さんだが、その仕事自体がファンを喜ばせるということに直結する。
「完全にそうですよね、この仕事は。自分の活動の目的はファンの方に楽しんでもらうこと。ただ、表裏一体というか、ファンの方に楽しんでいただけるものを生み出すことが自分にも返ってくるし。自分がやりたいことで喜んでもらうというのもあるし。芸能の世界ってそういうものなんだと思います。応援してくれる方、見てくれる方がいないと評価もされないし。どんないいものを作っても、見る人がいなかったら、そこに価値は生まれないので。そういうところは本当に表裏一体ですね。だから、ありがたいです。ファンの方がいて、自分がいるのは、間違いないので。そういう方々を大切にしないといけないし、そうしないと自分もいられないというところは、ある意味恋愛に近いのかもしれないですね」。

岩田剛典『パーフェクトワールド 君といる奇跡』/photo:You Ishii
11月には出演作『Vision』がフランス公開されるなど、国際的な注目を集めつつある。今後、目指すものはなんだろう。「待ってるだけじゃ駄目だなと、すごい思っていて」と言う岩田さんは、多忙を極める日々を過ごしながら、「いろんな仕事に対する枯渇感が自分の中で年々増していってるんです」と、仕事への貪欲な姿勢を隠さない。

「気がつくと、自分でストーリーを考えていたり。常に頭と体を動かしてる感じです。自分のアイデアから何か仕事が生まれたら面白いなっていうのは、あるかな。自分の頭の中のことを具現化したときに、自分がどれだけ満足できるのか。やってみないとわからない部分もあって」と言いながら、面白い提案ができるよう、構想を練っているという。
「やってみる土壌があれば挑戦したい。現状維持で満足しないということです。自分が楽しめる環境を自分で作っていくことも意識してやってますね。自分だけじゃ無理なんですけど、そこも含めての自分の居場所作りというか、常に自分が楽しんで仕事できる環境作り。助けていただける方々がいてくれるので、そこにちょっとずつ種をまいている段階です」。
《text:Yuki Tominaga/photo:You Ishii》

好きな場所は映画館 冨永由紀

東京都生まれ。幼稚園の頃に映画館で「ロバと王女」やバスター・キートンを見て、映画が好きになり、学生時代に映画祭で通訳アルバイトをきっかけに映画雑誌編集部に入り、その後フリーランスでライター業に。雑誌やウェブ媒体で作品紹介、インタビュー、コラムを執筆。/ 執筆協力「日本映画作品大事典」三省堂 など。

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