【インタビュー】エミリー・ブラント「歌いながら子どもたちのことを考えていた」

30代半ばを迎えたいま、エミリー・ブラントは充実の時を迎えている。

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エミリー・ブラント『メリー・ポピンズ リターンズ』 (C) 堤博之
  • エミリー・ブラント『メリー・ポピンズ リターンズ』 (C) 堤博之
  • エミリー・ブラント『メリー・ポピンズ リターンズ』 (C) 堤博之
  • 『メリー・ポピンズ リターンズ』(C)2018 Disney Enterprises Inc.
  • エミリー・ブラント『メリー・ポピンズ リターンズ』 (C) 堤博之
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  • 『メリー・ポピンズ リターンズ』 (C)2019 Disney. All Rights Reserved.
  • エミリー・ブラント『メリー・ポピンズ リターンズ』 (C) 堤博之
  • 『メリー・ポピンズ リターンズ』(C)2019 Disney. All Rights Reserved.
30代半ばを迎えたいま、エミリー・ブラントは充実の時を迎えている。

プライベートでのパートナーでもあるジョン・クラシンスキーが監督を務めた主演作『クワイエット・プレイス』は興行面でのヒットに加え、批評家からも絶賛を浴びた。

そして、まもなく公開となる、ディズニーが傑作ミュージカルを55年ぶりに蘇らせた『メリー・ポピンズ リターンズ』では、見事な歌声とダンスを披露し、軽やかにタイトルロールの魔法使いを演じ、ゴールデン・グローブの最優秀主演女優賞にノミネートを果たした。

『メリー・ポピンズ リターンズ』(C)2018 Disney Enterprises Inc.
「この先、どうしたらいいの? と思うくらい、これまでで最高の1年を過ごしたわ」と2018年をふり返るエミリー。そんな最高のタイミングで彼女の来日が実現したのは、日本のファンにとっても幸運なことだ。

2006年の『プラダを着た悪魔』でメリル・ストリープ(本作でも共演!)が演じた編集長のアシスタント役を演じハリウッドに進出して以来、数多くの話題作に出演してきたが、実は意外にもこれが初来日である。

エミリー・ブラント『メリー・ポピンズ リターンズ』 (C) 堤博之
「取材続きでこのホテルの窓からの景色がいまのところ、私が知ってる日本の全てね(苦笑)」とぼやきつつ「ずっと前から日本に来たいと思ってたから、ワクワクしてるわ。時差ボケがしっかり残ってるから、取材が終わっても夜もまだまだ元気でいられそうだし、東京を楽しもうと思ってるわ」とまぶしい笑顔を見せる。

“模倣”ではない自分なりの新しいメリー・ポピンズ


オリジナル版の『メリー・ポピンズ』が公開されたのは1964年のこと。ロンドンを舞台に、空からやって来たメリー・ポピンズが、魔法と機知でバンクス一家に笑顔をもたらす物語はアカデミー賞5部門に輝いた。

半世紀を経て蘇った本作では、前作時に子どもだったバンクス家のジェーンとマイケルの姉弟はすっかり大人に。妻を亡くし寂しさに打ちひしがれつつも必死で生活を立て直そうとするマイケルと3人の子どもたちのもとに、再びメリー・ポピンズが訪れる。

『メリー・ポピンズ リターンズ』(C)2019 Disney. All Rights Reserved.
オリジナル版を「6~7歳の頃に見て、魔法にかけられたわ」というエミリー。「同時にメリー・ポピンズの存在に、子ども心に不思議な安心を感じたわ。彼女はカオスに秩序をもたらしてくれるところがあって、たとえうまくいってなくても、彼女が正しくしてくれて、そこにホッとする気持ちを覚えたの」とふり返る。

オリジナル版でメリーを演じたのは、ジュリー・アンドリュース。彼女にオスカーをもたらしたこのメリーという役を演じる上で、もちろんプレッシャーもあった。

「最初は怖い気持ちも不安もあったわ。作品もアイコンだし、ジュリーのパフォーマンスもアイコン。でも、この演じがいのある役を楽しむという喜びの方が勝ったわ」。

演じると決めたからには、ジュリーの“模倣”をするつもりはなかった。

「この話がもらって、出演すると決めてからは、あえて前作を見ないことを決めたの。むしろ、もともとの原作であるP.L.トラヴァースの8冊の小説を読み直したわ。そうしたら、メリーの造形が、映画での印象とは違っていて、エキセントリックでちょっと無礼な感じやユーモアがあって、いい意味で未知な存在に映ったの。そこから作り上げていったので、今回のメリー・ポピンズは、自分なりの新しいチャプターとなっていると思うわ。逆にジュリーが作り上げたメリーは、不滅の存在であり、私がモノマネをするなんて、それこそおこがましいって思ったの」。

エミリー・ブラント『メリー・ポピンズ リターンズ』 (C) 堤博之
新たなチャプターとしてのメリー像において、エミリーが何より大事にしたのは、彼女の「duality(=二面性)」だった。

「彼女は一見、気難し屋で上から目線だったり、鏡に映る自分の姿を気にしたりする部分を持ってるけど、一方で人間性と共感力の高いキャラクターなの。その両方を表現することが大事で、地にしっかりと足を着いているかと思えば、フワフワと空を飛ぶこともできる。現実的、実用的な資質を見せたかと思えば魔法も使うし、その両面を見極めて表現することが大事でした。彼女が人間性を垣間見せる瞬間もきちんと見せたいとロブ・マーシャル監督には伝えたわ。冒険にみんなを連れ出す瞬間に、彼女自身も喜びを感じている表情を見せたりね。二次元のスーパーヒーローというよりは、“超・人間”とでも言うべきキャラクターであり、その人間性をいろんなレイヤー(層)で見せていくことを意識したわ」。

『メリー・ポピンズ リターンズ』(C)2018 Disney Enterprises Inc.

お気に入りの楽曲は「涙なしで歌えない」


数々の楽曲とダンス、その歌詞が伝えるメッセージが見る者の心を打つが、なかでもエミリーにとって、一番のお気に入りだというのが新たに書き下ろされた「幸せのありか(The Place Where Lost Things Go)」である。母を失った哀しみを抱える子どもたちにメリー・ポピンズが子守唄として歌うバラードで、号泣必至のナンバーだ。最初に聴かされたとき、エミリーも思わず涙し、作曲チームに「こんな美しい曲、涙なしで歌えないわ!」と言ったという。

『メリー・ポピンズ リターンズ』 (C)2019 Disney. All Rights Reserved.
「この曲は、スコット(・ウィットマン)とマーク(・シェイマン)の作曲家チームが最初に書いてくれた曲なの。子どもたちが何を必要としているかを見極め、それを与える、メリーの厳しさが一瞬、剥がれ落ちて、優しさが垣間見えるの。歌詞が伝えるメッセージは純粋で、たとえ大事なものを失っても、それはなくなったんじゃない。ただ置かれる場所が変わっただけなんだと希望と慰めを運んでくれる感動的な曲よ。撮影の1年前には曲をもらっていて、撮影時には既に自分の体の一部になっていたけど、素晴らしい子どもたちを前に、彼らの小さな顔に向かって歌っているときは、感情が高ぶってきたわ。どうしても、彼らを通して自分の子どもたちのことを考えちゃうの。もし、私の子どもたちがそんな大きな喪失を経験することになったら…って」。

エミリー・ブラント『メリー・ポピンズ リターンズ』 (C) 堤博之

安定した場所があるからこそ「チャレンジできる」


『オール・ユー・ニード・イズ・キル』ではトム・クルーズと共に激しいアクションを披露し、『ガール・オン・ザ・トレイン』ではサスペンス、先述の『クワイエットルーム』ではホラーヒロインとして高い評価を受け、本作や『イントゥ・ザ・ウッズ』『スノーホワイト/氷の王国』といったファンタジーの世界でも観客を魅了する。

『メリー・ポピンズ リターンズ』(C)2019 Disney. All Rights Reserved.
まさに魔法使いのように、多彩なジャンルを飛び越えて作品に溶け込みつつ、強烈な存在感を放つエミリー。プライベートでは二児の母でもある彼女だが、ハリウッドというともすれば我を見失いかねない巨大な世界で地に足を着けて、公私共に順調に歩を進める、その秘訣は?

「そうね…自分でもよくわからないけれど(笑)、もともと、希望を失わないタイプの人間で、悪いことが起こってもそれを引きずらないし、ネガティブな生き方をしたくないっていつも思っているわ。幸い、家族にも恵まれているし、子どもたちは本当に大きな喜びをもたらしてくれているわ。この映画の原作に『空を飛ぶためには、安定した飛び立つための場所が必要だ』という言葉が出てくるんだけど、子どもたちや家族という安定した場所があるからこそ、メリー・ポピンズのように空を飛んだり、いろんなクレイジーなことにチャレンジできるんでしょうね。中でも去年は、本当に高みと言える場所に達することができた1年だったわ。この作品に加えて、夫と一緒に全くタイプの違う作品を作ることができたけど、どちらの作品も本当に大好きなの。まさに、私がこの仕事に求めてきたものを実現できた1年だ足し、これからも多様性のある作品で、何かから派生したようなキャラクターではない、複雑な人物を演じていきたいと思ってるわ」。

エミリー・ブラント『メリー・ポピンズ リターンズ』 (C) 堤博之
《text:Naoki Kurozu》

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