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【ネタバレあり】「シスターズ」“ながら見”させない!? 怒涛のサスペンスを紐解く8つのキーワード

「若草物語」を現代韓国版にアレンジ?「青いラン」「情蘭会」から「チェ・ドイル」まで、韓国ドラマ「シスターズ」を紐解くキーワード

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Netflixの「今日のTV番組TOP10」(非英語作品)に24の国でランクイン、総視聴時間世界3位を誇る韓国ドラマ「シスターズ」(10月3日~9日までの集計)。9月3日の配信開始以降、回を重ねるごとにランキングを上げ、3週目から日本でも「今日のTV番組TOP10」ランキング1位を走っている。

「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」「ユミの細胞たち」などで日本でも人気のキム・ゴウン、「100日の郎君様」「あやしいパートナー ~Destiny Lovers~」が話題を呼んだナム・ジヒョン、映画『はちどり』「今、私たちの学校は…」と確実に成長を見せるパク・ジフが3姉妹を演じ、韓国社会を牛耳ろうとする金と権力の亡者による壮絶な陰謀に巻き込まれていく。

貧しくも仲睦まじく暮らしてきた3姉妹が700億ウォンもの大金に翻弄される、二転三転する怒涛のサスペンスは、軽く“ながら見”していたら重要なセリフや些細な表情の変化を見逃してしまいそう。そんな本作を紐解く、8つのキーワード&人物に注目した。

※以下、本編のネタバレにふれています。ご注意ください。


1:「若草物語」を現代韓国で描いたら、こうなった


「シスターズ」は、これまで何度も映画化やアニメ化が繰り返されてきたルイザ・メイ・オルコットの名作小説「若草物語」(Little Women)に着想を得て、もし同作の姉妹が現代の韓国で暮らしていたら…という想像を膨らませた物語。

日本ドラマをリメイクした「マザー 無償の愛」を手掛け、『親切なクムジャさん』や『お嬢さん』、最新作『Decision to Leave』(英題)などのパク・チャヌク監督作品で知られる脚本家チョン・ソギョンが、馴染みのあるキャラクターの特徴を残しながら現代に生きる女性像を見事に描いた。新進政治家とその妻の登場はソン・イェジン主演『荊棘の秘密』も思い起こさせる。監督は「ヴィンチェンツォ」を手掛けたキム・ヒウォン。韓国社会の暗部を今作でも炙り出す。

長女メグにあたるのが、キム・ゴウン演じるオ・インジュ。家族のために身を捧げて働き、一度結婚して離婚したことも。高級靴を無理して履き靴擦れを起こしそうなタイプに見えるが、いつの間にか華麗に履きこなしている。普段は貧相でも花が咲いたら姫になるのだ。

弁が立ち、文才にも優れた勝ち気な次女ジョーに相当するオ・インギョンは、何としてでも信念を貫く不撓不屈のジャーナリスト。緻密な取材と芯の強さで、市長候補パク・ジェサン(オム・ギジュン)とその妻ウォン・サンア(オム・ジウォン)の闇に迫っていく。瀟洒な邸宅に暮らす大おばオ・ヘソク(キム・ミスク)と最も親密なのもインギョン。インギョンに思いを寄せるジョンホ(カン・フン)は、さながらローリーだ。

末っ子のセラン芸術高校2年、オ・イネは感受性が強く絵画の才能に優れた四女のエイミーにあたる。自分のための姉たちの苦労や犠牲が重荷になっており、親友になったヒョリン(ジョン・チェウン)の両親は「貴族」だからその一員になりたいという現実的な夢を持つ。

オンジェの記憶によるとベスに当たる三女は幼いころに亡くなっており、「シスターズ」では3姉妹の物語が展開する。また、彼女たちの貧しさは父親の借金に原因があるが、両親はほぼ登場しない。


2:「700億ウォン」で幸せになって!?


オーキッド建設の経理部で、同じ“ハブられ仲間”として慕っていた先輩チン・ファヨン(チュ・ジャヒョン)の遺体(実際は別人)を発見したインジュ。シン取締役(オ・ジョンセ)から、ファヨンのせいで15年間にわたり横領していた裏金700億ウォン(日本円で約70億円)と裏帳簿が消えたと知らされる。

ファヨン先輩の死の真相を突き止めたいインジュは裏金捜しに協力する中、先輩から会員権を譲られたヨガサロンのロッカーで、登山リュックに入った現金20億ウォンを見つける。「窓の立て付けのいい家で妹たちと暮らしてね」との手紙もついていた。

それだけでなく、ファヨン先輩と欧州で資金洗浄に関わっていた財務担当チェ・ドイル本部長(ウィ・ハジュン)の調べで、700億ウォンは「オ・インジュ」名義のシンガポールの銀行口座にあることが分かる。

700億ウォンは、韓国の平均年収4,000万ウォンの1万7500年分にあたる。これほどの裏金づくりをシン取締役に指示していたのは、オーキッド建設を含むウォルリョングループ会長にしてベトナム戦争の英雄である“将軍”ウォン・ギソン、そして将軍が病に倒れ意識不明となってからは、その娘でウォルリョン美術館館長のウォン・サンア。700億ウォンは、彼女の夫で弁護士から市民党のソウル市長候補となるパク・ジェサンの選挙資金だった。

「700億を失った人は、いっそう金に執着する」というチェ・ドイルの言葉どおりに、700億を奪われたサンアの陰湿で猟奇的ともいえる“筋書き”によって、インジュはこれまで知るよしもなかった富裕層の日常と現代韓国の闇に足を踏み入れる。チェ・ドイルとは700億ウォンを6対4で分けることを条件に、手を組むのだが…。


3:インジュの夢をすべて叶える「シンガポール」


ファヨンは、シンガポールでサンアの指示により資金洗浄を行っていた。世界ラン大会で最高峰のランを競り落とすことは、美術品より目立たず、資金洗浄や脱税、横領にはもってこい。いまや世界の富豪がシンガポールで財テクならぬ“ランテク”をしている、とサンアは言ってのける。

一方、ファヨンはSNS上ではチン・ミギョンと名乗りつつ、「オ・インジュ」名義の銀行口座だけでなく、高級マンションやクラシックカーを所有していた。シンガポールは4年前、亡くなったファヨンの母の代わりにインジュが付き添い、2人で初めて海外旅行に行った場所。その際に「1日でいいから、あんな所に住んでみたい」とふと話し、初めての贅沢な時間を味わったインジュの夢をファヨンは叶えてあげたかったのだ。

だが、周囲の人々が次々と亡くなり、自身や妹たちの身の安全も危ぶまれる中、やがてインジュは700億ウォンを自ら引き出しにチェ・ドイルとシンガポールへ向かう。しかし、シンガポールにもサンアの罠が! ファヨン先輩のふりをして黄色のドレス姿を見せたり、手紙を秘かに渡したりとインジュを操り翻弄し、挙げ句、彼女のマンションで700億ウォンを奪う寸前に。

「“MIP”:世界一重要な人」なんて初めて言われ、まるで映画『プリティ・ウーマン』のように至れり尽くせりだったインジュが、サンアの筋書きで“どん底に突き落とされるか”と思いきや、インギョンがパク・ジェサンに裏帳簿を渡して何とか交渉成立。

さらに、実は生きていたファヨンが追われて事故に遭ったインジュを「お金持ちになるんでしょ、起きて」と奮い立たせ、サンアの魔の手からインジュを守っていた。こうしたシンガポールのシーンは現地ロケが行われただけあり、豪華絢爛な雰囲気もたっぷり味わえる。


4:インギョンが探る「ポベ貯蓄銀行」事件


パク・ジェサンは4年前、ごく普通の市民3万人の預金4,000億ウォンが倒産によって“消えた”ポベ貯蓄銀行事件で銀行側の弁護士団の1人だった。当時、新人記者だったインギョンが初めて取材した事件であり、頭取キム・ダルスをはじめ4人の関係者が自殺したことで、その内の1,400億ウォンの行方が分からなくなっていた。

その被害者の中に、ファヨン先輩の母もいた。ファヨンはオーキッド建設の前身ウォルリョン建設時代から横領を手伝いながら貯めた2,000万ウォンを母に譲ったが、母はすべてポベ貯蓄銀行に預けていた。“少しでも利子を得ようと預金した庶民”の1人だったのだ。それ以後、ファヨンは変わったとサンアも話しており、その時からファヨンは“復讐”を念頭に置いていたらしい。

もともとインジュが「妹はOBNの報道レポーター」とファヨンに話したことから、彼女はポベ貯蓄銀行被害者の会でインギョンに接触、後に情報提供する頭取キム・ダルスの甥を紹介していた。その甥キム・チョルソンにインギョンが改めて接触すると、交通事故に見せかけて殺害されてしまう。チョルソンの弟から当時の病室の防犯カメラ映像を手に入れたインギョンは、パク・ジェサンの関与を確信するのだ。


5:イネも誘われた「青いラン」の秘密の温室


ファヨン先輩(実際は別人)が亡くなった自宅アパート、検察に自首して刑務所に逃げようとしたシン取締役の事故現場、インギョンが接触しようとしたポベ貯蓄銀行関係者のキム・チョルソンの事故現場には、決まって青いランが置かれていた。さらに、ポベ貯蓄銀行のキム・ダルスが自殺直前に手にし、その香りをかいでいたのも青いラン。

そして、インジュがサンアから青いランを受け取ったその日、大おばオ・ヘソクも彼女に恨みを持つチョン・サンヒョクに殺され、そこにもやはり青いランが…。

インギョンがジョンホと調べた青いランは、通称・ベトナムの幽霊。ラン界の女王ともいわれる希少品種。ウォン・ギソン将軍がベトナム戦争中に発見し、韓国に持ち帰った。研究者による専門書「青いラン」を韓国語に翻訳したのが、将軍の部下だったウォルリョン学校のチャン・サピョン校長(チャン・グァン)。

生育にはある老木のみに育つ特定の微生物やカビが必要なため、ランはその木からは離れて生きられない。その老木がある場所は韓国で唯一、将軍の自宅だけ。聖ベネディクト精神科病院に入院していた、将軍の息子でサンアの兄ウォン・サンウ(イ・ミヌ)がラン愛好家だったのも頷ける。

サンアとパク・ジェサンの娘ヒョリンとともに留学するため、その家で暮らし始めたイネも、見事な老木と青いランが咲き乱れる秘密の温室を目の当たりにする。青いランの香りは感覚を研ぎ澄まさせ、記憶を取り戻させたり、幻覚を見せたりする作用があるという。イネもこの温室で、記憶の奥底にあった亡くなった三女についての母の会話を思い出していた。

ランから抽出した原液には昏睡作用もあり、サンアによれば「原液3滴で30分以内に馬も熟睡する」ほど。シンガポールでは、サンアがインジュにラン入りのお茶を飲ませて眠らせる展開もあった。最終話ではサンアが父・ギソン将軍の吸入器にも注入し、死に至らしめている。


《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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