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【レビュー】ナム・ジュヒョクが初めて見せる“ダークヒーロー”の姿 この秋注目の「ヴィジランテ」が問う正義とは?

爽やかでナイーヴな青年を演じてきたナム・ジュヒョクが、警察学校の模範生とダークヒーローの2つの顔を持つ主人公を熱演、「ヴィジランテ」が11月8日(水)より独占配信

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「ヴィジランテ」©2023 Disney and its related entities
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「カジノ」「ムービング」「最悪の悪」など、ディズニープラスオリジナル韓国ドラマの勢いが、いま凄まじい。特に“2023年最高の韓国ドラマ”との呼び声高く、世界的ヒットとなっている「ムービング」は第28回釜山国際映画祭で開催された「2023アジアコンテンツ&グローバルOTTアワード」にて最多6冠を受賞する快挙となった。

そして新たに、同映画祭の「オンスクリーン」セクションにて第1話~第3話まで初上映され、期待と注目を集めているディズニープラス スターオリジナルシリーズ「ヴィジランテ」が11月8日(水)より独占配信される。爽やかでナイーヴな青年を幾度となく演じてきたナム・ジュヒョクが、二面性を持つダークヒーローを熱演する。


かつてない眼差しで罪人たちを裁く
“ヴィジランテ”キム・ジヨン


「法は国民を守らない」「法は加害者の味方」と、今作では何度も繰り返される。

子どものころ、目の前で母親を殴り殺されるという壮絶な体験をした主人公のキム・ジヨンは、“軽い”判決を受けた犯人を恨み続け、警察学校の模範生となったいま、ついに復讐を果たす。当時、その犯人に犯行を深く反省し悔やんでいる点が見受けられること、そもそも殺意があったとは認められないことなど、情状酌量の名のもとに釈然としない判決を突きつけられた幼きジヨン。案の定、法の網をくぐり抜けた犯人は、わずかな刑期を終えた後も暴力を繰り返しながら生きていた。

法は時として、その更生を前提とするために加害者の人権に配慮する。大々的に報道され、世間に記憶されるのはむしろ被害者やその家族であるのに。特に保護者を突然奪われた子どもは、人生そのものが壊れてしまうというのに。

「人の家庭を壊したお前がなぜ生きている」とナム・ジュヒョク演じるジヨンが拳を振り下ろしながら、母親を死に追いやった犯人を問い詰めるところから「ヴィジランテ」は幕を開ける。

黒づくめのパーカー姿をトレードマークに、やがてジヨンの行動は世の注目を浴びていくが、そのきっかけを作るのがテレビの報道番組だ。視聴率至上主義の報道記者チェ・ミリョはジヨンを「自警団」を意味する“ヴィジランテ”と名づけ、刑罰の軽い犯罪者たちを「正当に罰している」とまるで崇めるように報道する。

それに背中を押されるようにジヨンは、例えば患者に性的暴行を働きながらも医師免許を剥奪されない医師や、被害者を逆恨みする小児性犯罪者らに、より過激かつ大胆不敵な方法で次々と私的な制裁を与えていく。

キム・ギュサム原作によるウェブ漫画を実写ドラマ化した今作で、法の網をかい潜る罪人たちを裁く“ヴィジランテ”を演じているのが、「恋のゴールドメダル~僕が恋したキム・ボクジュ~」「ハベクの新婦」「まぶしくて―私たちの輝く時間―」「スタートアップ:夢の扉」「二十五、二十一」、そして映画『ジョゼと虎と魚たち』といった数多くのヒットドラマや話題作で人気を獲得してきたナム・ジュヒョク

これらの作品で見せてきた、繊細な感情を込める彼の眼差しに惹かれてきたファンは少なからずショックを受けるはずだ。これほどまでに誰かを痛めつけ、血なまぐさい暴力をふるう姿はおそらく初めて。その眼差しは怒りに満ち、冷たく、憎しみが滾っている。

人生を奪われ壊された被害者たちの「恨」を、法に代わって晴らしていくかのようなヴィジランテを演じるため、ナム・ジュヒョクはボクシング、柔道、武術訓練などで準備を重ねたといい、自身初となる身体を生かしたアクションシーンにも果敢に挑んでいる。

その一方で見どころとなるのが、平日のジヨンは警察学校に通う成績優秀な学生であること。授業では教授を唸らせる鋭い発言をし、同期たちとバスケットボールにも興じる。芸能界に入る前は選手を目指していたナム・ジュヒョクのバスケ姿を堪能できるシーンもある。

また、週末に同期たちと「クラブに行こう」とはしゃぐ姿は、今作の演出を手がけたチェ・ジョンヨル監督の長編映画デビュー作『グローリーデイ』(15)のワンシーンを思い起こさせる。

だが、傍目には青春を謳歌しているようでも、ジヨンの週末は亡くなった母のクッパ店がそのままになった実家でヴィジランテに豹変する二重生活だ。同じように警察学校を舞台にして、淡い恋模様やライバルとの友情が見どころとなったディズニープラス作品の「キミと僕の警察学校」やパク・ソジュン&カン・ハヌル共演の映画『ミッドナイト・ランナー』の側面がありながらも、理不尽な暴力に対してはさらなる暴力でリベンジするマ・ドンソクの『悪人伝』のようでもある。

若手俳優が兵役で空白期間が生じる直前に、これまで見せたことのない強烈な役柄に挑戦して印象を残していくケースは多いが、ナム・ジュヒョクが今作で見せるかつてない演技は衝撃を与えるとともに、現実においても共感を呼びかねない危うさをはらむ。

劇中で「悪事をなしたものは必ず天罰を受ける」という意味を持つ老子の言葉「天網恢恢(かいかい)疎にして漏らさず」が引用されるのが象徴的だ。ヴィジランテは法の網をすり抜けた者たちに天に代わって制裁を下すが、網の目に入り込み軽んじられてしまう犯罪の被害者は、いずれも社会からこぼれ落ちそうな者たち。

チェ・ジョンヨル監督の『グローリーデイ』が、俳優ジスやリュ・ジュンヨル、「EXO」スホらによる青春群像劇でありながら残酷で不条理な社会をありありと描き出したように、今作でも強い者には甘く、弱い者には厳しく、弱き者たちの声は排除される社会の縮図を映し出す。監督の2作目で、ウェブ漫画「始動」を原作にマ・ドンソクやパク・ジョンミン、チョン・ヘイン、ヨム・ジョンアらの群像劇となった映画『スタートアップ!』(19)も、確かに社会から取りこぼされた若者と大人たちが必死にあがく物語だった。

今作中には彼らの代弁者のつもりなのか、犯罪者の自宅前で生配信するYouTuberも現れる。逮捕の瞬間よりヴィジランテが制裁を下す瞬間こそカメラに収めたい、そんな歪んだ倫理観もさらけ出す、まさにいま見るべき物語である。


Disney+で「ヴィジランテ」を視聴する


ナム・ジュヒョクを取り囲む、圧巻のキャストたち


ヴィジランテを利用するテレビ局のチェ・ミリョ記者を演じるのは、映画『非常宣言』の勇気あるチーフパーサーや「悪の心を読む者たち」の気概に溢れた女性刑事などが印象深いキム・ソジン。今作では一転、報道メディアの“毒”の部分を体現する。赤髪のチェ記者がそこまでしなければならないのは、女性として苛烈な競争を勝ち抜いていくためでもあるはずだ。

また、「ヴィジランテはすぐに忘れ去られる」といいながら執念深く追う広域捜査隊の刑事チョ・ホンにはユ・ジテ。頭脳派だった「ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え」の“教授”も記憶に新しい中、ユ・ジテは100kg近くまで体重を増量して鍛えたそうで、拳ひと振りで男性が簡単に吹っ飛ばされるほどの“怪物チーム長”役は圧倒的。ナム・ジュヒョク、ユ・ジテともに187cmの長身であり、両者が直接対決するなら相当な迫力となるだろう。

さらに、ヴィジランテの熱狂的なファンであり、権力と金、情報力で彼を追従していく財閥の副社長チョ・ガンオク役として「秘密の森」シリーズのイ・ジュニョクも登場する。

ジヨンのルームメイトである元柔道選手ミン・ソヌク役を演じる、「その年、私たちは」「ドクター弁護士」のイ・スンウにも注目。「反省しないやつは更生しない」というジヨンと似通った正義感を持つ青年だ。

そして、警察学校のイ教授もまた、ヴィジランテは身近にいる人物と気づき、ジヨンに迫っていくことになりそうな予感。ホン・サンス作品や『新感染半島 ファイナル・ステージ』のクォン・ヘヒョが落ち着いた演技で緊迫感ある場面を締めている。


Disney+で「ヴィジランテ」を視聴する

「ヴィジランテ」は11月8日(水)よりディズニープラス スターにて独占配信開始。

(C) 2023 Disney and its related entities

〈提供:ウォルト・ディズニー・ジャパン〉

《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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