『国宝』の吉沢亮が、第49回日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を初受賞した。これまで数々の賞レースを席捲してきた吉沢だが、最優秀賞のブロンズ像を手に、想いを新たにしていた。
優秀主演男優賞には、吉沢のほか、妻夫木聡(『宝島』)、長塚京三(『敵』)、松村北斗(『秒速 5 センチメートル』)、山田裕貴(『爆弾』)と多彩な顔ぶれがそろった。

吉沢は任侠の一門に生まれるも、女形の才能を買われ歌舞伎の世界に入り、芸をきわめていく主人公・立花喜久雄となった。血筋が重視される世界で実力勝負し、日本一の歌舞伎役者になるためすべてをささげる喜久雄の生きざまを全身全霊で表現。見るものの心を震わせた。初タッグとなった李相日監督が「喜久雄を演じるのは吉沢亮しかいない」と語った吉沢ありきのプロジェクトで、1年半かけて歌舞伎を猛特訓。舞台のシーンも吹替なしで稀代の女形を演じきった。
共演した横浜流星がプレゼンターを務め、吉沢の名前を発表した。吉沢は同じテーブルについていた渡辺謙と握手を交わし、李監督と抱き合った。笑顔で壇上に立った吉沢は、横浜からブロンズ像を受け取ると、握手して固く抱き合い、まるで映画のシーンに重なるような2ショットとなった。

吉沢は「ありがとうございます。非常にうれしく思っています。僕の名前を呼んでくれてトロフィー(ブロンズ像)を渡してくれた横浜流星とともに、大変な稽古期間を乗りこえました。本当に彼がいなかったら僕自身も喜久雄になれなかったし、この場に立つこともできなかったと思います。この映画にとっても僕自身にとっても、偉大な存在でした」と横浜のほうを向きながら感謝の思いを伝えた。
そして自身の俳優人生を振り返り、吉沢は「僕は15歳のとき今の事務所に入って今年で17年くらいやっていて。今まで芝居は楽しいなという思いだけで、何となく俳優を続けていくだろうなと(思っていた)。でも今回、芸の道を生きる人間の業(ごう)、その道の険しさを痛感しました。そしてその先にある本当の喜びのようなものに少し触れられた気がして、改めてこの道に生きる自分を見つめ直す機会になりました。ますます精進してまいりますのでよろしくお願いいたします」と力強くスピーチした。


