今や飛ぶ鳥を落とす勢いの人気の韓流スターたち。ただ、そんな彼らにも「運命の一作」があったはず。特に韓国ドラマ界において時代劇は、若手俳優の「登竜門」であり、同時に「真価が問われる場所」とも言われています。彼らがトップの座を不動のものにした、あるいは俳優としての評価を確立した伝説的な時代劇をプレイバック。現在の洗練された姿とは異なる、情熱に満ちた「あの頃」の熱演を振り返ります。
「時代劇の申し子」と称され、圧倒的な演技力とアクションで視聴者を魅了し続けるイ・ジュンギさん。近年でも、2023年に放送されたドラマ『アラムンの剣:アスダル年代記』で、一人二役という難役を見事に演じ分け、その卓越した表現力を改めて世界に知らしめました。
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さらに、精力的にファンミーティングを開催し、日本を含むアジア全域で変わらぬ人気とカリスマ性を誇っています。そんな彼が、スターとしての地位を不動のものにした歩みと、大きな転機となった作品を振り返ります。
イ・ジュンギさんは、2005年の映画『王の男』で大道芸人を演じ、一躍トップ俳優の座を獲得しました。
「女性よりも美しい男」と称賛された彼は、今や歴史ドラマに欠かせない存在です。『一枝梅(イルジメ)』では義賊を演じ、華麗な武術アクションを披露。兵役を終えて復帰第1作に選んだのも、やはり歴史ドラマである『アラン使道伝』でした。これらの作品はいずれも高い評価を受けています。
その後に出演したのが、『朝鮮ガンマン』です。同作は朝鮮王朝末期を舞台に、復讐のため別人になりすました剣の名手が、やがてガンマンとして活躍していくアクション・ロマンス。
イ・ジュンギさんが演じたパク・ユンガンは、優れた剣の腕を持つ男ですが、数奇な運命をたどり、日本人商人の長谷川半蔵、さらには覆面の黒銃士へと姿を変えていきます。つまり、イ・ジュンギさんは1人3役を務めたことになります。アクションからロマンスまでを演じ切る力量は、まさに圧巻の一言に尽きます。

「『朝鮮ガンマン』では、既存のヒーロー像とは異なる姿を見せることができるはずです。どうせなら、イ・ジュンギが演じるヒーローではなく、“イ・ジュンギ”という一つのジャンルとして評価されたいです」
これは制作発表会でイ・ジュンギさんが語った言葉です。自信に満ちた発言にも聞こえますが、本作最大の見どころが彼の熱演にあることは間違いありません。イ・ジュンギさん自らが考案したという銃を使ったアクションや、7年ぶりに共演したナム・サンミさんとのロマンスも必見。同作はあらためて「歴史ドラマと言えばイ・ジュンギ」という評価を確固たるものにしました。
これまで数多くの歴史ドラマに主演してきたイ・ジュンギさんですが、『朝鮮ガンマン』の舞台である朝鮮王朝末期は、意外にも初挑戦の時代設定でした。この時代は開化派と守旧派が激しく対立し、朝鮮が近代化へと向かう動乱の時期です。日本との関係も深く、作中には実在の人物である金玉均(キム・オッキュン)が登場するなど、歴史ドラマならではの重厚な人間模様も存分に味わうことができます。
文=森下 薫


