刑事・吉岡(役所広司)の周辺で勃発する連続殺人事件。捜査し犯人を追い詰める立場であるはずの吉岡だが、妙な感情に揺れ始める。自分が犯人ではないのか…? ガイシャの周辺に仄かに残る自分の痕跡、残滓…そして自分自身の記憶すら自らの潔白を何も語らないのだ。そんなある日、第1の殺人現場を、まるで自分自身を確かめるようにうろつく吉岡を不気味な「叫(さけび)」が襲う! 儚くも物哀しい細い女の悲鳴のような「あなただけ許します…」という声。謎が闇を呼び、これは現実なのか、それともどこか別の世界なのか…。濁った水と黒い闇の糸で繋がれた人々の運命の物語は、静かに現在と過去、いや過去と現在間で絡み合い、吉岡は知らぬ間にその秘密に巻き込まれていく…。
黒沢清