男は何故、自転車を盗んだのか? そして男は何故、ペダルを漕ぎ続けたのか? 釜石に住むひとりの男が、自転車で走り続けた7日間の記録。その男の名は斎藤鉄男(杉本哲太)。製鉄所の工員である。ある朝、鉄男の頭の中で打鐘の音が鳴り響く。「ジャン、ジャン、ジャン…」激しい発作が鉄男を襲う。鉄男は自転車を盗んだ。ハンドルに手を掛け、思うに任せてペダルを漕いだ。鉄男はどこに行こうとしているのか。一体何に向かっているのだろうか。瞬く間に自転車は釜石を抜け出し、吹雪の仙人峠を越えていく。7日目の夜、鉄男は池袋の雑踏の中に立っていた。高橋忠和監督の第1回監督作品。
高橋忠和