東京で気ままに切手コイン商を営む“山さん”こと山内和彦は、突然自民党に白羽の矢を立てられ、市議会委員の補欠選挙に出馬することに。政治家の秘書経験もない山さんは、言わば“政治の素人”。しかも選挙区は、ほとんど縁もゆかりもない川崎市宮前区。「電柱にもおじぎ」を合言葉に、当時の小泉首相や自民党大物議員、地元自民党応援団の総出の、世にも過酷な“どぶ板選挙”が始まった。果たして山さんは勝てるのか? そして、選挙戦を通じて浮き彫りになる“ニッポン民主主義”の本質とは? 巨大政党がいかなる戦略と方法論を駆使して“政治の素人”を“公認候補”に仕立て上げ、選挙戦を展開するのか――裏も表もつぶさに観察した長編ドキュメンタリー映画。
想田和弘