イタリア国内で220万人を動員し、第70回ダヴィド・ディ・ドナテッロ賞の観客賞を受賞した『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』の本編映像と場面写真が公開された。
1970年代のローマ、姉妹が営む衣装工房。豪華で美しい衣装制作の裏側にはそれぞれに事情を抱えるお針子たちの人生の物語があった――。困難を乗り越え幸せを掴んでいく女性たちを愛情深くユーモラスに描き出し、イタリア国内で批評家と観客の高い支持を得た本作が、ついに日本で公開される。
物語の原点は『カプチーノはお熱いうちに』や『あしたのパスタはアルデンテ』で知られるイタリアの名匠フェルザン・オズぺテク監督が、助監督だった時代の記憶。老舗衣装工房で出会った著名なデザイナーや俳優たちとの思い出だ。監督はそこで働く女性たちの勤勉さや知恵、美への献身を目の当たりにし、「あらゆる困難に耐えうる抵抗力を持つ女性は、何ものにも負けず輝き続けるダイヤモンドのような存在だ」と感じたと語る。

また本作の衣装を担当したのは、2026年のミラノ・コルティナ冬季オリンピックの閉会式の衣装を手掛けたいま最も注目されている新進気鋭の衣装デザイナーのステファノ・チャミッティ。映画の終盤に圧倒的な存在感をみせるドレスは、2025年大阪・関西万博のイタリア館で展示され話題となった。Netflixの人気ドラマシリーズ『リディア・ポエットの法律』なども担当している。
本作の舞台はフェルザン・オズぺテク監督が助監督時代に通った、ローマにある老舗衣装工房「ティレッリ」のアトリエがモデルとなっている。フェデリコ・フェリーニ『カサノバ』(76年)、ミロス・フォアマン『アマデウス』(84年)、マーティン・スコセッシ『エイジ・オブ・イノセンス 汚れなき情事』(93年)、アンソニー・ミンゲラ『イングリッシュ・ペイシェント』(96年)、ジェームズ・キャメロン『タイタニック』(97年)、ソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』(06年)、ケネス・ブラナー『ナイル殺人事件』(22年)、リドリー・スコット『ナポレオン』(23年)など、じつに17作品ものアカデミー賞受賞作品と多くのノミネート作品に携わり、他にもオペラや舞台衣装を手掛け、今日も職人たちに技術を継承し続けている聖地である。
また2025年に発表されたDIORの「クルーズ2026レディトゥウェア コレクション」は、ティレッリ制作の多くの衣装からインスピレーションを受けて創られ、2025年のDolce & Gabbanaの「アルタ・モーダ2025コレクション」とコラボレーションするなど、ファッション業界へも影響を与え続けている。

この度、貴重な衣装たちが登場する場面写真が解禁。本作にはフェルザン・オズぺテク監督の特別な想いから、『山猫』(63年)でクラウディア・カルディナーレが着用した細いウエストとデコルテを強調したアイコン的な白いドレス、『ルートヴィヒ』(73年)でロミー・シュナイダーが着用した漆黒のドレス、他に『ヴェニスに死す』(71年)、『イノセント』(75年)などルキノ・ヴィスコンティ監督作品のティレッリ制作の衣装が登場している。

また、映画監督や衣装デザイナー、フィッティングに訪れる俳優たちが行き交い熱気が漂う工房での衣装制作シーンの映像も解禁された。アカデミー賞受賞歴のある世界的に有名な衣装デザイナーが自ら持ち込んだのは、精肉店の冷気を逃さないようにするカーテンのビニール素材。最初はお針子たちも驚くが、次々にインスピレーションを口にして意見交換し、慌ただしい中でもクリエイティブに協力し合っている制作過程が垣間見える。
セリフにある「タリアテッレの幅に切ってね」の「タリアテッレ」とは、リボン状の平打ちパスタのことを指し、実にイタリアらしい表現だ。鳥カゴのようなパニエを制作している次のシーンでの「“しあわせな日々”なのにね」という依頼主の言葉は、腰まで埋まって身動きできない中年女性を描いた劇作家サミュエル・ベケットによる不条理劇「しあわせな日々」を示している。料理用語から戯曲名まで、様々な単語が飛び交う衣装工房で、切磋琢磨して働くお針子たちの博識さ、意識の高さが感じられるシーンとなっている。
『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』は6月19日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。




