絵本画家いわさきちひろ。子どもへの愛に溢れ、ベストセラー「窓ぎわのトットちゃん」(黒柳徹子・著)の絵でも知られるちひろの絵は、没後38年経った今も、世代を超え愛され続けている。その絵を知らない人はいないとも言えるいわさきちひろだが、彼女の人生が波乱に満ちたものであったことは、あまり知られていない。生前を知る人々が「ちひろは“鉄の芯棒を真綿でくるんだような人” だった」というように、どんな困難にも決して屈しなかった彼女の姿を描いた本作は、その柔らかな絵からは想像できない、彼女の波乱の人生を追ったドキュメンタリー映画である。
海南友子