ビッグ・ウォール・クライミングの頂点ともえる、ヒマラヤ・メルー峰の通称“シャークスフィン(サメの背ビレ)”は、エリートクライマーたちにとって、最高の報酬とされている。北インドに横たわる聖なるガンジー川を見下ろす高度6,500mにそびえるこの山は、ありえない障害壁が続き、多くのクライマーにとって悪夢の山であり、また一方で、だからこそ挑戦せずにはいられないまさに世界一、難攻不落の壁。2008年10月、著名なアルピニスト、コンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズタークの3人がこのメルー峰ダイレクトルートに挑戦。当初7日間を予定していたツアーは、結果的に倍以上の日数に渡る大チャレンジとなった。本作は、大自然の圧倒的な脅威を目の当たりにした人間が、自身の内なる声に耳を澄まし、打ち勝ち、不可能といわれる高さを精神、肉体ともに乗り越えていく様を克明にとらえていく。
ジミー・チン