小学校の教室で教師が子供たちに将来の夢を聞いている。 獣医、音楽家、科学者と次々に答える子供たち。自分の番が来たケッコ(ケッコ・ザローネ)は、「公務員」と元気よく答える。目を丸くする教師。幼いころからの夢をかなえてケッコは公務員になった。一生収入を保証される安定した職。しかもプライベートでは親がかりで生活費はゼロ。ママ(ルドビカ・モドゥーニョ)が美味しい食事をつくってくれ、身の回りの面倒もみてくれるから、恋人との結婚は先送りして、お気楽な独身生活を楽しんでいた。ところが、政府が公務員削減に乗り出したため、ケッコも対象となり、早期退職か移動かの選択を迫られる。リストラ担当のシローニ(ソニア・ベルガマスコ)はケッコをイタリア各地に始まり、外国にまで移動させ、遂には厳寒のノルウェーの離島に送り込む。ところが、ケッコはめげるどころか、離島の観測所の研究員ヴァレリア(エレオノーラ・ジョバナルディ)と恋仲になり、彼女と、それぞれ父親の違う彼女の3人の子どもと一緒に暮し始める。だが、公務員の職と特権にしがみつくケッコに愛想をつかしたヴァレリアは、ケッコの許を去ってしまった――。
ジェンナーロ・ヌンツィアンテ