20歳のルーシーは、男の子とキスしたことも、働いたことも、本当の友人を持ったこともなかった。彼女の唯一の理解者は母親のクレアだけ。クレアはルーシーを外の悪い世界からずっと大切に守ってきた。自分の末期の病さえも隠しながら…。何かが母に起きていることに気づいたルーシーは自立することを決心するが、うまくいかずに途方に暮れる。するとそんなとき、目に飛び込んできたのは「フェリーニ映画祭」と題されたきらびやかで怪しい劇場だった。吸い込まれるように入っていったその場所でフェリーニの魅惑の世界にまたたく間に心を奪われる。ルーシーはいてもたってもいられず、フェリーニを探すためイタリア各地を巡る旅へ出る。そこで待ち受けるのは、フェリーニ作品の世界に迷い込んだようなファンタジーや悪夢、胸高鳴るラブストーリー。真実と虚構が幻想的に絡み合いながら、ルーシーの「フェリーニを探す旅」は最終地点へと向かっていく。
タロン・レクストン