寂れた温泉街。彫師で郵便屋の鷹巣とペンギンと呼ばれる恋多き詩人がいつものようにたわいのない会話をしている。そんななんでもない一日を過ごしていた頃、月夜の星という名の女が詩人の世界に盲目的に酔いしれ、ペンギン宛てにファンレターを出し続け、ついには2人の前に姿を現した。【郵便屋】と【ペンギン】、そして間に割って入った【月夜の星】。孤独な3人の奇妙な三角関係が動き出す。そして彼らは街で起きたヤクザ同士の抗争と会いまみれ、バイオレンスな事件とエロティシズムな世界が交錯し、それぞれの現実からの逃避が始まるのだった。
廣田正興