小学6年生の岸本正哉は、フィリピン人と日本人のハーフの男の子。クラスのいじめっ子たちから、何かにつけてちょっかいを受けている。嫌だったが、自分がハーフだからしかたないと諦め、抵抗することなくやり過ごしていた。そんな正哉の学校でのよりどころは、優しく見守ってくれる新任司書の山崎祥子と過ごす図書室だけだ。正哉と同じクラスの放送委員の香山涼太は、DJカヤマと称して必死で校内放送をしていたが皆に不評で、いつも空回り。クラスのなかでも浮いている存在だった。ある日、いつも通り正哉が図書室に向かうと、涼太が祥子と楽しそうに話していた。正哉は面白くないが、マイペースの涼太はある特別放送を企画していて、2人を巻き込もうとする。当然ながら、正哉は乗り気ではない。だが驚いたことに祥子は涼太の企画を手伝うという。その祥子にはある秘密があった。あるとき、その秘密を目にした涼太は、正哉に話す。「僕には話してくれたんだよ」と。涼太の小さな嘘に、正哉は「僕には話してくれなかった」と傷つく。とうとう特別放送日がやってくる。とんでもない涼太の企画を実行した祥子は謹慎処分となってしまう。そんな祥子を励ますために、正哉と涼太はある計画を立てる。
迫田公介