いつの時代かわからない戦時中の日本。長く続いた戦争で人々は疲弊しきっていた。テレビ局に勤める伊沢は、暴力的な演出家や、わがままなアイドル歌手の銀河から冷酷な仕打ちを受ける日々だった。ある夜謎の隣人木枯の妻サヨが彼の部屋に忍んできた。サヨは知能に障害があり、伊沢の元へ逃げ込んできたのだった。その日から密かな同棲を始めた伊沢だったが、ふたりでいても孤独からは逃れようがない。戦火は次第に街へ迫り、ついに空襲が彼らの家を襲う。伊沢はサヨの手を引いて猛火の中を逃れてゆく…。果たしてふたりに明日の希望はあるのだろうか。
手塚眞