エイコは度々、子どもの頃に出会った音を思い出す。大きなその音に包まれゆく場所で、その音を聴いた同じ年頃の少年は駆け出し、その音を聴いたエイコはブランコから落ちる。繰り返し思い出されるイメージは、記憶か夢かあるいは現在、もしくあは他者の。音は膨張し、少年は成長している。あれはすごく大きい何か、すごく大きい何かの呼吸。
川添彩