川島拓也は少年時代、ネグレストの母親と再婚した義父から虐待を受け、そして学校でも酷いいじめに遭っていた。そんな拓也の唯一の理解者は同級生の下館結衣だけだった。ある日、拓也が結衣から貰って大切にしていた誕生日プレゼントの腕時計を、母親が見つけて酒代にしてしまう。拓也の中で何かが壊れた。酔って寝ている義父と母親に、今までため込んだ鬱憤を晴らすがごとく刃を向け、そして少年刑務所に入った。結衣は、そんな拓也に、希望を捨てないよう手紙を送り続けた。二人の純愛は拓也が刑務所に入っても壊れることはなかった。出所後拓也は、派遣社員として登録番号No.a20153を付与され、普通の社会人として一人で生計を立てられるように懸命に働く。いつか結衣に逢いに行くために。しかし、運命はそんな彼らに、ありえない現実を突きつける。
北沢幸雄
北沢幸雄