かつて国内で栄えた造船業が急速に廃れたあと、瀬戸内海に面した香川・坂出に逃げ着いた女は、体を売って孤独に生きていた。女には6年前、長崎・佐世保で共に暮らしていた夫のもとから、別の男と駆け落ちした過去があった。ある雨の晩、突然訪ねてきた夫。女のさびれたアパートの部屋で語らい、体を重ねるにつれ、次第に時空が歪み出す。
越川道夫