パトカーのサイレンが鳴り響き、燃えさかる街並みを前に「欲をかくものは、全てを失う」と高らかとアジテートするジミー・クリフ。映画は、二大政党JLPとPNPによる激しい抗争の最中、混沌とした熱気に包まれるジャマイカの風景からはじまる。1980年、故郷サマートンでのフリーライブ。丘を重機でならし、ステージを一から作る、ボランティアによる手作りのライブだ。地元愛に溢れた素晴らしい演奏を聴かせてくれる。そして南アフリカのソウェト、ドイツのハンブルグと続くツアーにクルーが密着。16 ミリフィルムにその熱狂を収めていく。ヒット曲も多く、ポップな魅力と、キース・リチャーズ、ジョー・ストラマー等々ロック界からも溺愛される反骨精神溢れる、絶頂期のジミー・クリフを捉えた貴重なドキュメンタリー。
ステファン・ポール