「うちに帰りたい」。末期癌で⼊退院を繰り返していた⽗の⾔葉で、⺟は家での看取りを決意した。介護ベッドを置き、ヘルパーさんや訪問看護師さんが出⼊りする⾃宅で始まった⽗と⺟の新しい⽣活。ベッドから動けない⽗は何かと世話を焼く⺟に「ありがとう」と⼝にするようになり、⺟はできる限り⽗の近くで時間を過ごすようになった。少しずつ⾷事が摂れなくなり、痩せ、⽬を瞑る時間が増えていく⽗。持病の悪化で⾃⾝の健康にも不安を抱えることになった⺟。ヘルパーさんたちは毎⽇⽗の元を訪れ、丁寧にケアを⾏い、時に⺟の相談相⼿にもなってくれている。閉じていく命の前で広がっていく⼈と⼈のつながり。⽣と死のあわいに訪れる、夢のようなひととき。両親の最後の⽇々をみつめたのは、映画監督の村上浩康。介護⽣活を続ける両親と積極的に関わりたいとの思いから回し始めたカメラには、社会問題や様々な命が映り込む。
村上浩康