京都に暮らすイラストレーター、神名。30歳を目前にした彼女は人生に静かな行き詰まりを感じていた。絵本で賞を獲り脚光を浴びたのは何年も前、最近は無茶なクライアントワークに神経をすり減らし、惰性と不毛な恋愛に逃げる日々を送っている。昔から自分勝手で人間関係に不器用なのは自覚している神名だったが、出会った頃からなぜか深く理解をしてくれる“男ともだち”ハセオからの思いがけない電話をきっかけに再会。甘く、苦く、ひりひりとした二人の時間が動き出す。愛していないはず、だけど失いたくない、この感情は何なのか。京都、富山、広島――あの頃も今も変わらない温度で接してくれるハセオと過ごす”“3つの夜”が、神名の人生を大きく変えていく。
三島有紀子