「窓」「いつかの走馬灯で」「エンディングはひとつだけ」の3編からなる物語。<episode1 窓>大人気ない大人たちの、本音と情熱と執着。「なにかご意見あれば」そう言ったのは他でもない。自分なのに。作家の桐山涼は向かいに座る編集者・黒川に苛立ちを募らせていた。なぜか。原稿への意見をズケズケ言う黒川が妙に生き生きしているからか。それとも、その指摘が案外的を射ていて、徹夜明けの心に刺さるからか…。<episode2 いつかの走馬灯で>わたし、幸せにしてくれだなんて一言も言ってないんですが「二人の関係は終わりにしよう。今の自分だと、涼を幸せにできる自信がない」リモートワーク中に届いた一通のメッセージ。ある日突然フラれた涼は、住み慣れた京都の街で煙草を吸いながら考える。幸せになるとはどういうことか。幸せにするとはどういうことか。あいつの言う「幸せ」とは、なんだったのか。<episode3 エンディングはひとつだけ>母はいる、いますよ。路地裏の古びたたばこ屋で涼はひとり、静かに暮らしている。涼のやることは簡単。朝が来たら店を開け、窓が3回鳴ったらたばことお金を交換する。ただそれだけ。死んだ母の言いつけを守って、母のように、涼は同じ日々を繰り返す。そうしていると涼は今でも、母がすぐそこに“いる”ように感じるのだ。
堀陽子