88歳の岡田忠雄は、妻の認知症介護に苦しんでいたとき、俳優で介護福祉士の菅原直樹と出会う。“演技”でぼけを受け入れることに救われ、やがて劇団の看板俳優に。舞台では岡田が生きてきた現実が入り込み、虚構と生活が交じり合っていく。しかし、妻との死別、自身の脳梗塞、高齢者住宅への入居と、老いの現実は容赦なく訪れる。それでも「舞台に出たい、役者に定年はない」。99歳を迎えた“看板俳優”が渇望した舞台、その幕が開く。
大野諭史