母国の台湾を離れ、日本で俳優活動をしている昀鎂(ウェンメイ)。来日してから5年が経つものの、母語でも母国語でもない日本語のセリフを扱うのは難しい。そんな昀鎂は主演に抜擢された映画の撮影初日、自分の出番の直前まで、ボイスレコーダーに吹き込んだセリフを再生しながら練習を繰り返していた。けれどもいざ本番がはじっても、監督からの「OK」はなかなか出ない。その日の夜、昀鎂は姉の慧玲(フイリン)とその夫である季平(ジーピン)を迎えることになっていた。台湾で企業勤めだった慧玲の日本支社への異動が決まり、新天地での住居探しにやってきたのだ。姉とはどうにも相性が合わないが、昀鎂は不本意ながらその通訳を務めることになっている。同じバックボーンを持ちながら、まったく異なる人生を選んだ姉妹。うまく分かり合えないふたりの歩みが、いくつもの人々の営みの中で交差する─。
スー・ユチュン